自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第492回
友里が考える「客が納得する店」とは その1
コラムの題材にした理由

読者の方からのお便りがきっかけです。
毎日コラムを読んでいただいている
現在料理店で修行中の方からメールをいただきました。
いずれ独立して自分のお店をもつ夢をお持ちだそうで、
友里として「良いお店」とはどんなものなのか、
考えをコラムに書いて欲しいというものでした。

私は一般客の立場で、
世間で言う辛口というスタイル
(自分では辛口ではないと思っておりますが)で
コラムなどに料理店批評や問題点を発表しています。
世に料理店評論をしている人は
雑誌やサイト上で数え切れないほどいます。
しかし、独立した立場で、純粋で公平な評論だけで
生計を立てていると思われる人はいないのではないでしょうか。

最も活躍していると思われる山本益博氏。
氏の会社の業務内容には立派に
「食品に関する商品開発アドバイス」、
「レストラン、ホテルに関するアドバイス」が明記されています。
犬養裕美子氏が所属している「レダック」の前田社長は、
(株)ジー・シェフという、
「飲食業界へのメニュー開発支援およびコンサルティング」、
「シェフ及び食に関するコンテンツ
(レシピ・ウェブ・メルマガ・動画・アニメ)の
制作、配信、放送、販売」、
「シェフに関するイベント・スクールなどの実施」
などを主な業務にしている会社の実は取締役です。
つまり、犬養さんは実質この会社の子会社の人、
親会社の宣伝部員とも受け取られます。
どちらの会社も飲食店業界からアドヴァイス料を貰っている、
もしくは互いに協調路線で親しくしなければ
成り立たない業務であります。

つまり、週刊誌や雑誌、
そして本に寄稿している料理店の評価は、
彼らの存在をアピールし、
親会社や自分の会社の本業であるコンサルタント料や
イヴェントの収益を上げる
ただの宣伝なのではないかということです。
薬品会社がTVでじゃんじゃん家庭用医薬品を宣伝して
会社名を売っていますが、
実は収益を医科向けの薬品に頼っているという構図と似ています。

他のジャーナリスト、ライターもお抱えか、
フリーといえどもどこかの出版社の系列に属しているでしょう。
いずれも飲食店業界とズブズブの関係の出版社です。

つまり、この飲食店業界と、
はっきりいえば癒着していなければ
独立してやっていけないのが
料理店評論家、フード・レストランジャーナリストです。
ですから、彼らと一線を画している友里が、
彼らと同じように、
飲食店のアドヴァイスや提案をしていいのかと考えたのです。

結論として、
友里流に「客が納得する店」とはどんなものだろうか、
経営者とて霞を食って生きているわけではありません。
利益を上げることを目指すのは当たり前の事。
経営側にも無理のない、
そして客側にとっても納得の店とはどんなものなのか、
これからしばし、皆様と考えていきたいと思います。
勿論飲食店側からアドヴァイス料を貰わない
まったく無料のものですから、
影響を受けないシビアなものになるかもしれません。
シリーズが進むほどにご意見、お考えをいただければ幸いです。


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2004年12月1日(水)

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