第440回
ワインの諸々 その33
白トリュフとバローロ
10月と秋が深まるなか、食事好きな皆さんは
この時期登場してくる食材を楽しみにされていることと思います。
別に夏の食材が悪いわけではありませんが、
秋から冬にかけては魅力的な食材がどんどん登場してきます。
キノコ類は特にこの時期がいいでしょう。
王様といわれる「丹波のマツタケ」は
あまりの価格のため口にできるかどうか。
乾燥物の方が味は濃いかもしれませんが、フレッシュポルチーニ。
私が秋のはじめはフレンチよりイタリアンに行きたくなるのは、
このキノコのパスタを食べる為かもしれません。
そして、なんと言ってもわくわくドキドキ、
ここ何年も必ず1回はチャレンジするのが
イタリアはアルバ地方の産といわれる「白トリュフ」です。
高級な丹波のマツタケは100グラム1万円くらいでしょうか。
でもこの白トリュフは、日本のイタリアン業界では、
1キロ30万円くらいと言われています。
なんと丹波マツタケの3倍。
しかし、
これはマツタケのように直接口の中に入れるものではなく、
スライスするわけですから、
量から考えるとマツタケほどは高くはなりません。
独特の香りの強さはマツタケの何倍もありますから、
お得といえるかもしれません。
テロワールというのでしょうか、
同じ生産地である食材とワインは良く合うと言われています。
アルバのあるピエモンテ州の代表的なワイン、バローロ、
特にこの古酒が
白トリュフに抜群に合うと巷では言われております。
バローロのセパージュであるネッビオーロは
古くなると色素がとんでしまうのが特徴でしょうか。
ロゼか白ワインのように見える半世紀近く寝かしたバローロは、
しかし、香りは官能的なくらい甘く、
味わいにも果実味を感じます。
初めて私が、シンプルにリゾットに白トリュフを振りかけたものと
合わせたときは、感涙物でした。
機会があったらぜひ、皆様もお試しいただきたいと思いますが、
最近のバローロの造りは凝縮感をだした早飲みタイプですので、
白トリュフと若いバローロは合わないかもしれません。
でも気をつけてくださいね。
マツタケと同じで、
とってから新しければ新しいほどいいものです。
高額品ですからそう何回も店は仕入れられません。
昨年、カメレオンなどで遭遇しましたが、
売れ残った白トリュフが結構あるものなのです。
まったく香りはしませんが、
店も大金を払って仕入れていますから、香りがあろうがなかろうが、
何とか売りたくて勧めてきます。
食べている客が少なそうな店の場合は、
いつ仕入れたか、叶うならば香りをかがせてもらってから
注文を決めるほうがいいでしょう。
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