第393回
この立地でこの価格は疑問、随息居 2
山本益博氏は6500円のコースでも大変満足したとの事、
豚が牛に変わっただけの麻婆豆腐で倍近いコース価格、
どれほど凄い料理がでるのでしょうか。
実際、他の客はコースどころか単品オーダーして
正味1時間前後で退散しているなか、
我々は2時間以上の長丁場となりました。
前菜盛り合わせに
四川料理の特徴がないのは趙楊で経験済みでしたが、
ピータンのから揚げや砂肝は良かった。
しかし、チリソースに使ったエビは大正海老1匹、
最高額のコースにしては物足りません。
フカヒレは丁寧な処理で悪くはなかったものの、
四川料理に必要な物かどうか。
辛くない料理でも、もっと代表的な皿があるはずです。
その他、蛙の煮込みや、ナマコ、スズキの山椒ソースなど
やや変わった食材、調理法で目先を変えられましたが、
甘くも辛くもなく、特に印象に残らない料理が続き、
塩を入れすぎたかのゴーヤ炒めは皆首を捻る出来でした。
そういえばスズキの山椒ソースも
山椒というより塩味が目立っておりました。
では主役はどうかというと、
牛肉を使うことにより、香りと食感を引き出したかったようですが、
香りが浮いてしまっています。
豆鼓がすり潰さず丸ごと入っており、
豆板醤も熟成させたピィシェン豆板醤を使っているからか
甘み、旨みを感じるのですが、
辣(ラー)も麻(マー)もゆるい物。
旨みや甘みだけではなく、
辛さ、痺れとのバランスが重要と考えます。
この立地の店にしては珍しい食材を用意することにより、
この雰囲気の店で
1万2千円請求する正当性を出そうとしているようですが、
それでもCPはいかがなものか。
雑誌の企画に安易に乗って、大々的に裏メニューとともに
店自体を宣伝する事は仕方ありません。
しかし、食材的にはそんなに差がないと思われるこの陳麻婆豆腐を、
店の格とはかけ離れた高額コースにしか盛り込まない戦略に、
店主のセコさを感じます。
かくしてビールに紹興酒を飲んで
一人1万6千円前後となりました。
<結論>
町田にあってこその随息居、
決して造られた評判にのって
都心に進出してこないことを祈ります。
町田までの足代や時間を考えるとリピートはできません。
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