| 第394回友里征耶のタブーに挑戦 その9
 蕎麦職人への道
 
 フレンチ、イタリアン、京料理に限らず蕎麦屋の新店も目立つ今日この頃です。
 十年以上も前、
 まだ新橋に一軒しかなかった「本陣房」という蕎麦屋は、
 行列のできる料理店のはしりだったかもしれません。
 特に、桜の季節には、「桜きり」を含めた3色蕎麦が人気で
 私も並んだ経験があります。
 ところがどうでしょうか。
 私が確認できるだけで、この「本陣房」系列の店は
 新橋界隈だけで5店に増殖しております。
 面白にことに点在しているわけではなく、
 一つの路地に面して10メーター以内に
 3店も同じ店が(店名は違う)出来たときには驚きました。
 客の食い合いを普通は心配するものですが、
 新橋の勤め人には蕎麦好きが多いのでしょうか。
 蕎麦を打つところを見せるパフォーマンスをする店があるのですが、その職人がかなり若いということに私は注目しました。
 とても長い間修行を積んだとは思えない職人たち。
 たしか脱サラの人達用に設立された「蕎麦大学」なる訓練所も、
 その受講期間は1年未満だったと記憶しています。
 つまり、何年、何十年も修行しなくても、脱サラとして割と簡単に独立できる商売ということでしょうか。
 日本一蕎麦職人の店のように伝えられている「竹やぶ」の出身の店(恵比寿)の職人も若く見えましたし、
 最近マスコミに露出している修善寺の有名店?で修行した
 「流石」の主人も、修行は数年だったと記憶しています。
 つまり、「蕎麦大学」と同じとは言えないでしょうが、独立して蕎麦屋を営むための修行は
 そんなに期間を必要としないということでしょう。
 そば以外の料理も豆腐や玉子焼き、せいぜい焼き鳥で
 そのパターンは決まっております。
 創造性(創作ではない)を必要としない業界という点では、
 鮨と似ています。
 30前後の鮨職人が持て囃される時代ですから、
 蕎麦業界でもわかい職人、修業歴の短い職人の店がでてきても、
 当たり前のことかもしれません。
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