第387回
相変わらず流行っている野田岩
夏は鰻屋にとって稼ぎ時。
特に丑の日を中心に、
7月は日頃流行っていない店でも客が押し寄せていますから、
鰻屋は平賀源内には頭が上がらないことでしょう。
別に盛夏の鰻が旨いわけではないと思うのですが、
私も世間一般の習性として今年はこの時期、
久々に「野田岩」を訪問しました。
正確には「五代目 野田岩」というようです。
近くに別館を増設してから、
行列が少なくなったと聞いていましたが行った時期が悪かった。
何と、20人待ちくらいで結果、1時間は待たされましたが、
そのかわり新しい発見がありました。
店脇に何十も積み重ねられた発泡スチールの箱。
何なのかと近づいてみると、野田岩へ送られてきた食材、
つまり「鰻」の箱だったのです。
送り主は「焼津養鰻魚港協同組合」。
「野田岩様 鰻 蒲焼 あみ50入り」とありました。
相変わらず店のパンフには「野田岩の天然うなぎ」と題しており、
本文でも要約すると、
「冬場は上質の養殖鰻を使用しているが、
この期を除いては一級品の天然鰻を仕入れている」
とこの時期あたかも使用している鰻のほとんどが
天然の鰻のように客に思わせていますが、
実際は焼津の養殖物が主体のようです。
実際この日も、筏、中串など
「天然鰻」はないと店の人に断られました。
白焼きだけが天然だというのは以前と同じです。
仮にあっても山本益博氏をはじめ
有名人、VIP用しか出さないのでしょう。
特価で筏、中串とメニューに表示しているものだけが
「天然もの」だと知っている客がどれほどいるのか。
もしかしたら、笑い話にもなりませんが、
釣り針がでてこないかと多くの客が恐々「養殖鰻」を
「天然鰻」と思いこんで食べているのかもしれません。
パンフをはじめマスコミが
あたかも「天然鰻」を
多く扱っているかのような錯覚を抱かせる売出しは
罪作りというものです。。
実際この日食べた、白焼きは天然と言えども
いつもの通りうまくはない身の薄いフワフワのもの。
蒲焼も4千円しましたが、街場でない、
ある程度有名な他店との違いは
ブラインドではわからないレベルのものでした。
いつも思うのですが、
うまく宣伝して世に売り出したなーと感じます。
今は見かけませんが、昔は店内に
「天然なので釣り針が出てくるかもしれない」
と注意書きがありました。
あたかも天然鰻ばかりと錯覚させる宣伝手法、
少数ながら天然鰻を出すこともあるので
表記に嘘はないのでしょうが、
公取委か消費者団体から、
客に誤解を与える営業行為として指導や勧告がでないのでしょうか。
最後に一つ。
発泡の箱に書いてあった「蒲焼 あみ 50入り」とは
何なのでしょうか。
あみ串の形で入荷しているなんてことはないでしょうね。
ドアの隙間から厨房を覗いたら、
鰻を捌いているのが見えましたから、
「蒲焼」という表示は何かの間違いと信じたい。
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