第386回
麻婆豆腐めぐり その4
中華街の麻婆豆腐の有名店
本格的な中華料理を食べに行きたいならば、
今時中華街の店を選ぶ人は少ないのではないでしょうか。
久々に訪れて私はびっくりしました。
なにしろ昼間は観光客らしき人がほとんど。
修学旅行の学生さんたちが、
肉まんだけでなくソフトクリームを食べ歩く姿を見て、
果たしてここはまともな中華料理を出す店の街なのか、
疑問に感じた次第です。
回転すしならぬ、「回転点心」のような店もありましたし、
バイキング式の店には長蛇の列。
これではますます、真の中華好きの足が遠くというものです。
そんななかで、
雑誌で陳麻婆豆腐がうまいと紹介されていた2店を訪れました。
- 景徳鎮 -
大通りではなく、細い路地の街場の造りの店なのですが、
結構有名なのでしょうか、満席がつづく四川料理店です。
色は赤と黒。
つまり辣油と花椒の色が全面に目立つ皿でして、
期待は膨らみました。
趙楊を上回る辣、麻を感じる事ができるかと思ったのですが、
実際は見た目と違って辛さも痺れも適度のもの。
ニンニクのほか、生姜を感じます。
2回目の訪問のときは苦味を若干感じました。
豆板醤に火を入れすぎたのか
毎回味が変わるということは、安定性に欠けるかも。
ある程度発汗しましたから、
それなりに四川唐辛子を多用していると推測、
しかし、花椒はテーブルにありません。
ま、中華街の大店で、お決まりの宴会コースを頼むくらいならば、
この店のこの料理にした方がよいかもしれません。
もう一つのウリである「正東担担麺」。
味噌味を感じず、辛いがあっさりしています。
香りも強く、人によっては好き嫌いがでるでしょう。
二人ならば、この2皿とビールに紹興酒で充分です。
- 重慶飯店 ローズホテル -
雑誌では花椒を使い出したのは数年前と料理人が言っていました。
それまでは普通の麻婆豆腐だったと。
しかし、実態は
いまでも限りなく普通の麻婆豆腐に近いのではないでしょうか。
激辛を頼んだ割に、
ニンニクの味がしますが、まったく辛くないし痺れもしません。
赤い辣油は目立つのですけど。
花椒を頼んだら、「山椒ならばあります」との返事。
小皿に黒い粉がでてきましたが、
香りは私が思っている花椒とはまったく別のもの。
かなりかけまくりましたが、麻は最後まで感じませんでした。
雑誌ライターは本当に試食をしているのか疑問です。
観光客向けの麻婆豆腐と考えた方がいいでしょう。
ついでに「魚香茄子」も頼んだのですが、
街場の「マーボ茄子」といった感じ。
キモである酸味も感じずコリャ駄目だ。
四川料理の代表的な2皿がこの出来ですから、
わざわざ訪ねていく店ではありません。 |