第283回
友里征耶の提案 その3
ワイン持ち込み専門店はいかが
以前にも述べましたが、
最近のレストランにあるワインは若いヴィンテージのものばかり。
価格を押さえるため仕方のないことなのですが、
ブルゴーニュやボルドーなど
高級地方のある程度名の知れた畑やシャトーのワインは、
若いのに軽く1万円を超えてしまうものしかなく、
非常に頼みにくいのです。
また廉価のワインの代表である
イタリアの有名でない地方の州や
フランスの南仏、南西地方のワインでも
5千円前後で出すのが難しくなってきているようです。
これほどシェフが独立して競争が激化、
料理価格は3800円だ、5000円だとこなれてきているのに、
ワインが1万円を超えるのを頼むのは
ちょっとバランスが悪いと考えます。
私が日頃から言っているワインの掛け率ですが、
仕入れ原価の1.5倍から2倍以下での提供なら
まずは良心的と考えます。
私の本業では倍売りどころか数%のマージンが当然なのですが、
飲食店関係は総額売上が少ないので、損益分岐点を考えると
多くのマージンをとらなければやっていけないのでしょう。
3000円で仕入れたワインを6000円で売る。
1万円で仕入れたものは1万5千円。
粗利は3〜5千円くらいですが、
それにはワインの多種にわたる在庫、保管費用などの
経費が乗ってきます。
そのまま右から左に売り切れるものではないからです。
不動在庫もあるでしょう。
しかし、ワインを注文してもらって売上を伸ばす為に、
最近はワインの掛け率を
だいぶ下げてきている店が目立ってきています。
結果、在庫や保管費用などの割に利益率は低下しています。
そこで友里が考えたのですが、ワインの持込を許すというよりも、
ここは思い切って持ち込みワインを専門、
もしくは主体にするレストランを造ったらどうかと。
あれこれ初期投資でワインを買いだめする必要がありません。
客の来店の1週間前くらいに持ち込んでもらえれば、
保管スペースも少なくてすみます。保管費用も節約できます。
きっちり店の格にあわせて、
3〜5千円の持ち込み料を請求すれば、
特にワイン好きなどは
店で頼むより多くのワインを飲む可能性もありますので、
実質的な利益は上がるのではないでしょうか。
拘った客には、グラスも持ち込んでもらえれば、
グラスの損料を考える事もありません。
洗浄しなくてもすみますし。
その分、料理に専念してより口コミで評判をあげるわけです。
どうせ今の客の主体である若い女性は
ワインをほとんど飲みませんから、
ビールとグラス用のシャンパーニュを少し用意し、
拘りのない客用に
数種の安めのワインだけを用意するだけで充分です。
損して得とれではないですが、ストックしたワインで
掛け率を高くして一発大儲けするのではなく、
持ち込み主体にしてワインを飲む客層の開拓をするわけです。
ワインの品質の関する補償もなくなります。
持ち込み専門レストランとして、料理内容に全力をかければ、
ワインラヴァーなど富裕層を取り込む事が出来、
コースではない持ち込むワインにあわせた、
特別料理を要求するグループも増えるでしょう。
売上貢献のほか、
シェフの腕の見せ所と店のモラルもアップすると考えます。
どうせ今のほとんどのレストランのストックワインには、
ワイン好きからみて食指を伸ばしたくなるものがありません。
流通や情報がオープンになったので、
高級ワインでも、誰でもどこからでも
購入できるものがほとんどです。
色々店の特徴あるコンセプトを打ち出したほうが、
集客には役に立つのではと考えます。
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