自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第269回
友里征耶の疑問 その9
店はなぜシェアを嫌うのか

最近はあまり聞きませんが、以前山本益博氏はさかんに
同じテーブルでは全員同じ料理を頼むのが
スマートなオーダーだと言っていました。
そのようなオーダーで、通なる客だとシェフにシグナルを送り、
よりおいしい料理を造ってもらえるとのことです。
各自がバラバラだと軽く見られるそうです。

確かに厨房としてはこれほど楽なことはありません。
パスタにしても焼き物にしても、
一気にできますから確かに安定します。
おいしくなると言うより、バラバラに頼むと、
安定しなくなる可能性があるのですが、
それでも最高なものを出すよう努力するのが
シェフの腕だと私は考えます。

また我々一般客だと、シェフにシグナルを送ろうにも、
派手な交際でその日は厨房に居ないかもしれません。
あらかじめマスヒロ氏のように
有名人が予約していたらスタンバッているでしょうが、
一般客ではそうはいかないのです。
いくら通のオーダーをしても、
スーしかいなければ意味がないかもしれません。

店は、テーブルで違う料理を分け合うのを
嫌っているわけではないでしょう。
皿を回すのもそれは本人たちさえ周りの目を気にしなければ
店には迷惑はかからないでしょう。
ただ周りの目からも、皿を回すのではなく、
親しい仲ならば、切るなり分けて
他の人の皿へ配るようにすれば目立たずに良いと思います。

店側は、あらかじめ人数分皿に分けて
シェアすることを要求されるのを嫌うようです。
手間もかかりますしね。
しかし、「トンマ ズイーノ」などは、
料理をテーブルの真ん中に置いて、皿を人数分持ってきます。
トラットリアでは当たり前のことでして、
レストランの格によってシェアが、
自然にみえる場合もあるということです。

山本益博氏とのタイアップで、
「同じ料理を頼もう」運動が盛んになると、
厨房は調理するタイミングが簡単になりますから喜びます。
手間は半減するでしょう。

一般客として、厨房側の手間を半減させてその見返りに、
安定した料理が出てくることを期待するか、
各自が好きな料理を頼むことによって、
不安定になるリスクをとるか、難しいところです。


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