自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第234回
あの店は今・・・ その6
イタリア食堂 テラウチ

前著ではイタリアンテイストの炭火焼屋と述べましたが、
いつの間にか店名から「リストランテ」が消え、
「イタリア料理」となっておりました。

再訪して感じたことは、相変わらず野菜の味わいの素晴らしさと、
ウリだったはずの各種炭火焼の量と質の低下です。
1600円前後と原価を考えると旨くて当たり前ともいえる生野菜。
炭火焼の付加価値をつけると2千円を超えてしまいます。
野菜料理では、イタリア料理といえるのは
「バーニャ カウダ」だけだと思いますが、
高い請求をするだけに質の高さは感じます。
でも付加価値の少ない野菜です。
もう少し安くはならないのでしょうか。

パスタもなんら変わっていません。凡庸のままです。
ショートパスタに
ブロッコリーやドライトマトを合わせたものがありましたが、
ミスマッチではないでしょうか。
ウニのスパゲッティも駄目でした。

そして肝心の炭火焼。
以前と種類や価格帯は変わりません。
しかし、もっとポーションが大きく、
塩だけではなく肉の味わいもあったはずだったのですが、
聞くところ豚は200グラムと並みの大きさ。
食材の質を意味する旨みを感じず、
その少なくなったものさえ食べきるのに苦労します。
食材が塩の量に負けているのです。
子羊も同様でした。

ワインリストは5〜8000円を中心に、最高額は3万円程度まで。
以前と同じく種類が少ないのが
「リストランテ」の看板を下ろした理由の一つかもしれません。
白ワインには力を入れていないようで、種類は特に少ないですが、
料理の方向性からワイン選びは深く考えないで予算だけ、
価格の安いもので充分と考えます。

店名の変更はありましたが、パスタ類の進歩がなく、
炭火焼は量も質もかえって低下しているようです。
なぜに、特定のレストランジャーナリストは
いつまでもこの店を推奨し続けるのか、私は不思議でなりません。


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