自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第129回
店、料理人からの反論に対して その3
店に対する愛情をまったく感じない

ある週刊誌で最近拙著を取り上げた記事での、
料理店側からの意見です。
タイトルが「悪口雑言集」とあることから、
読者の方が最初に手にとられたとき誤解を受けやすいのですが、
私はそんなつもりで書いた覚えはありません。
取り上げたすべての料理店に対し、対決意識むき出しで
いわゆる悪口だけを書いたつもりもありません。
ガイド本や評価本、料理評論家やフードジャーナリストたちが
称えていた料理・サービスなどに対して、
一般客として違和感・ギャップを感じたことなど
具体的に例を挙げ、
私の経験から感じ取った判断で述べたまでです。
特に料理人や経営者の性格を垣間見る事ができる
「経営方針」や「客に対するサービス」は、
すべて事実に基づいています。
これらの記述には、
「愛情」を無理に注入する必要はないと考えます。
無理に料理人や店側に愛情を注ぎこみすぎるから、
実態とは違った褒めまくったヨイショ記事になってしまうのです。

逆に私は言いたい。
一般客に対するひどい仕打ち。
たとえば、「追い出し」とか「カード手数料転嫁」、
「スタッフ経費をケチりすぎて、
客側に大きな迷惑を与えているサービス」などの店は、
一般客に「愛情」を持っているといえるのでしょうか。
傲岸不遜な態度をとり、
一見客を威圧してカリスマ性を保とうとしている勘違い料理人が、
客に「愛情」をもって接していると言えるのでしょうか。

料理人や店へは「愛情」を持って評価しろ、
しかし、料理評論家やフードジャーナリストへは便宜をはかる
(愛情をもって)が、
一見、一般客には客を客として扱わない、というのでは、
あまりに勝手というものだと私は考えます。
料理人は特権階級ではないのです。
勘違いもここまでくると、もう修正はできないかもしれませんね。


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