第128回
この店もあの店も同じ会社のプロデュース
私が最近の料理店を訪問するたびに気になるのが、
「店構え」と「店の規模」です。
オーナーシェフとの触れ込みの店で、新たに出した分店が、
本店とは違った規模、コンセプトで驚いた経験はありませんか。
家族で経営(長女が料理長)の一日数組の客しかとらない
北京の「 家菜」は、売上げ規模が想像できます。
こじんまりした店の利益だけを原資や担保にして、
保証金や地代が高く、外装・内装にも相当な投資が必要な
「六本木ヒルズ」へ乗り込む余裕があったのでしょうか。
テナント側への条件が厳しいこの「六本木ヒルズ」へは、
「 家菜」より売上げ規模が大きい、
有名な料亭系の和食店も出店を諦めた経緯を私は知っています。
相当な投資額に対して、
回収できないかもしれないといったリスクを考えたのでしょう。
北京の家族経営の料理店オーナーが、
都内の有名?フレンチに勤めていた人間を
支配人として雇っているのも不自然です。
どこからそのような人脈、発想が生まれてくるのでしょうか。
影に仕掛け人、真のスポンサーの存在を感じるのです。
そんなことを考えていた折、ふと手にした雑誌
「東京 ちょっとおしゃれなレストランガイド」(成美堂出版)
を読んで、思わず納得しました。
「あのレストランは誰が手掛けているのか、知っていますか?」
という特集頁で、
最近の有名店の設計、経営、プロデュースを
請け負っている会社を調査していました。
「グローバルダイニング」は「権八」や「ラ ボエム」、
「モンスーン カフェ」などの
チェーン店を経営しているのは有名です。
「ソーホーズ ホスピタリティ グループ」という会社も
名前を聞いた事はありましたが、
そのプロデュースしている店を見てびっくりしたのです。
「 家菜」をはじめ「香港茶樓」、「南翔饅頭店」など
六本木ヒルズの中華料理店は皆この会社が関係しているのです。
この場合のプロデュースという言葉は曖昧です。
オーナーとして全額出資しているのか、一部出資しているのか、
そこははっきりしません。
でも、資金面でなんらかの関与があると
想像するに難くない状況証拠が、
店の規模、コンセプト、スタッフの人選から読み取れます。
しかも、この会社がプロデュースした店は
まだまだ他にもあるのです。中華に限りません。
有名料理人の店かと思っていた「ノブ 東京」や、
「ロイズ 青山」、「青龍門」も
そのラインナップに加わっていたのは、誠に意外でありました。
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