自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第98回
ワインの諸々 その2
店での古酒の頼み方

最近、古酒を置いている店が少なくなってきているとはいえ、
昔からのグランメゾン系の店では、いくつか見かけます。

「アピシウス」や「レカン」など
ちょっと勢いを失いかけているフレンチでも、
ワインは適度な値付けの古酒があるものです。
ワインコレクターがいかに全世界から
オークションなどで古酒を購入してきても、
それを家の料理やチーズだけで飲むのはちょっと寂しい。
高い持ち込み料を払うなり、ワイン代を払っても、
古酒好きな人は年に数回はグランメゾン系で
料理とともに飲んでみたいものです。

席に座ってワインリストを見て、
40年も50年も前のワインが気に入って
即座に注文するということもあるでしょう。
私も時々そうしてしまいますが、
出来れば避けた方が良いかもしれません。
ワインは保管の際、スペースその他の問題で横にしています。
古酒になるほど澱がたまってくるのですが、
横にしておくと下面全体に澱が付着して、
パニエで抜栓、サービスしても
技量によっては澱の混入が避けられません。
技量があっても難しいでしょう。

できれば、飲む1週間前くらいにはボトルを立てて保管して
澱を瓶底へ落とし、飲む時にそっとパニエに移して抜栓、
サービスするのが理想と考えます。
つまり、当日のオーダーでは間に合わない。
古酒を持ち込むときはせめて1ヶ月前、店でオーダーするにしても
数週間前には決めておいて準備をしてもらわなければ、
一番良い状態では飲めないと思うのです。

パニエでのサービスは必須の条件です。
澱が多いと、せっかく立てて瓶底に溜めておいても、
注いで再び瓶を立ててしまったら澱が舞ってしまいます。
「トゥール ダルジャン」など有名店のソムリエでも、
この常識を守っていないサービスを見る事がありました。
それだけ、澱のある古酒をサービスする機会が減ってしまった、
ワインが高くなってしまったということでしょうか。
残念です。


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