| 第97回料理評論家、フードジャーナリストの習性・実態 その9
 料理人との付き合いの限界は?
 判事の閉鎖性が問題になっています。被告、原告側といついかなる時に、
 裁判などで係わり合いを持つかもしれないので、
 その中立性を保つ為に
 世間への接触をなるべく避けていることが、
 彼らの閉鎖性を助長しています。
 検察側もいらぬ誤解を受けない為に、
 出入りする店は限られていると聞いています。
 そこまで厳密にする必要はないでしょうが、
 まったくお互いに緊張感なく馴れ合いになってしまっているのが、
 料理評論界です。
 料理評論家、フードジャーナリストは、料理人との親しい関係を隠すどころか、逆に吹聴しています。
 一緒に行動して他店へ食べに行く親密な関係も聞きます。
 料理人との親密な関係にあることが、
 彼らのステータスを上げる、と考えているようです。
 読者もそれを望んでいると考えているのでしょうか。
 料理評論家が料理人に最敬礼し、
 また態度のでかい料理人が「・・先生」と
 料理評論家を持ち上げて話す。
 ある意味、内輪で互いに持ち上げあっているだけで、
 滑稽に思えるのですが。
 フードジャーナリストが訪問日記で、「・・・シェフからパーティの招待をうけた」とか、
 「・・・シェフから電話があった」とか
 親しげにコンタクトを取っている様子を
 自慢しているのも見かけます。
 「おいしい食材がはいったから来てみて」と誘われて行って、
 うまかった、という文もよく目にします。
 自分のジャーナリスト?としての位置づけを確立するには、料理人と親しくなることが本当に必要なのでしょうか。
 これで中立性を保った取材が出来るのでしょうか。
 入試の審査官が、受験生と親しげにするようなものだ、
 というと言い過ぎでしょうか。
 私は少なくとも、ある一線を画す、という
 矜持を持たなければならないと考える次第です。
 なにも、料理人と店で喧嘩しろ、と言っている訳ではありません。楽しく会話して、料理を楽しむのは大いに結構ですが、
 店以外でも必要以上に付き合うのはいかがなものか。
 公平な評価をする事は出来ないのではないでしょうか。
 しかし、巷の自称料理評論家、フードジャーナリストは、行く店毎に料理人と親しくなるような手法を
 皆さん取られています。
 他の分野での取材の中には、
 対象者の懐に深く食い込んでネタを引き出す、
 といった事が必要な場合もあるでしょうが、
 所詮、料理店評価は、店の料理を、お金を払って食べて、
 その価格に見合った料理、サービス、雰囲気の店だったかを
 自身のポリシーに則って評価するだけです。
 読者や一般客は、それ以上の料理人への癒着を
 望んでいないはずです。
 日本の料理店評論、フードジャーナリズムは、
 まったく変な方向へ進んでしまっているようです。
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