第81回
団体客、観光客をとる店は

団体客を受け付ける店はどんなところでしょうか。
観光地での食堂、集客の芳しくない店などが考えられます。
団体客を受け付けた瞬間、
店の格が下落するのは致し方ないでしょうが、
背に腹は変えられないのでしょう。
色々と提携をすることによって
値引きしても安定供給を続けてもらいたいようです。

広尾の「香港ガーデン」。
うまいまずいは別にして、食べ放題の飲茶で
連日賑わっていますが、
それでも大型バスが何台も乗り付けられて
団体客を受け入れています。
騒然とした雰囲気が、
飲茶にマッチしているといってしまえばそれまでですが、
果たして団体客を受け付けなかったら満席にならないものなのか、
一度試してもらいたいと思っています。

銀座の「久兵衛」は、
同じく銀座の「田崎真珠」と提携しています。
「田崎真珠」は上顧客を選びながら、
半定期的に「久兵衛」へ数組客として送り込んでいるのです。
魯山人が愛した大看板であるはずの「久兵衛」ですが、
集客に苦しんでいるのでしょうか。
天麩羅、鰻、と並んで、
鮨も店の規模を大きくするのは考え物のようです。

そして観光客。
「丸ビル」や「六本木ヒルズ」を賑わせている大半の人たちは
近郊から来た人たちでしょう。
既に平日の夜、特に週初めは閑散となりましたが、
相変わらず土日だけは混雑しています。
でも、景勝、名跡を求めてきたのではなく、
単なる新しい物好きな人たちです。
邱永漢さんも言われていましたが、
これから次々出来上がる「再開発ビル」の出現を前に、
今のような集客を続けられるとマジで考えているのでしょうか。
甘い誘いと見栄で出店してきた有名店も多いようですが、
１年先、５年先を考えているとはとても思えません。
高い地代のためだけでなく、
数年で資金を回収できるような価格設定にしているとしたら、
ますますＣＰを悪く感じてしまうことになります。