女の地位と中華料理
男が強いか、女が強いかは、腕力の強さとはあまり関係がない。かみさんが女子プロ出身ならともかく、腕力だけならば亭主の方が強いにきまっている。
ところが、強いはずの男が物の見事に女房の尻に敷かれている。腕っぷしの強い男が女房のいいなりになっている場面は滑稽でもあり、愛嬌もあるので、中国人の間ではよく食卓の話題になる。ご存知かもしれないが、中国の笑話に次のようなのがある。
ある日、恐妻大会に百人の男が集まった。「太々(奥さん)がこわいと思う人はこちらに並んで下さい。こわくないと思う人はあちらに並んで下さい」と整埋係の人が言ったら、九十九人の男たちがこわいと思う方に並んだ。
一人だけ向う側に歩いて行こうとするので、係が「あなたは太々がこわくないのですか?」ときいたら、「いいえ、そんなことはありません」「じゃ、どうしてそちらへ行くのですか?」「実は、出てくる前に、女房から皆の行くところには行かないように、と言われたものですから」
この種の笑い話は他の国にもあるけれど、これほど徹底してはいないのではないか。養子に行ったわけでもなく、女房の持参金で生計を立てているわけでもないのに、中国人の男たちは女房には一目も二目もおく。
日本では、結婚式の披露宴でも、よほど親しいか、家族ぐるみのつきあいをしていなければ、夫婦で招ばれることは滅多にないし、ふつうの宴会では、まず男しか招ばれない。ところが、中国人は、男同士の時よりも、奥方が一緒の時の方が盛大に歓待される。
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