「効率」を限界まで追求する
あれこれ思案した末に、山崎さんはシンシナティに販売会社をおくことにした。
シンシナティといえば、アメリカの工作機械のメッカみたいなところだから、アメリカ中の工作機械の神様たちが集まっている。そんなところに貧弱な日本の工作機械メーカーがショールームをつくるのは、いってみれば、「神様の境内を借りてこちらの御社をつくるようなものじゃないか。気でも狂ったのか」と同業者からも、通産省の担当者からも笑われた。
しかし、山崎さんは「いや、縁日に、お客のない業者が夜店の間に割り込んで商売をやらせてもらうようなものだから、とおりがかりの者が買ってくれることもあるだろう」と初志を貫いた。
はたして工作機械のユーザーが全国から機械を買いにやってくる。街中に「マザック」と看板のあがったききなれない工作機械のショールームがあるのを見て、冷やかし半分に入ってみると、これが値が安くて性能がまあまあだから、じゃあ買ってみようかということになる。年間の販売台数が一工場を成り立たせるだけの大きさにふえた段階で山崎さんはシンシナティに現地工場をつくった。
日本では、一つの会社に勤めると、よほどのことがない限り、定年になるまでその会社に勤める。中途退職は至って少ないし、中途退職をした人を採用してくれる会社も少ない。たとえば、三井銀行を中途退職した人を三菱銀行が採用したという例をきいたことがない。
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