第367回
白隠禅師の《不老長寿法》を読む・3
繰り返しますが、
《心のときめき》こそ、薬に勝る、
病気快癒、元気長寿のパワーの源だ――
と、帯津医師は端的に「養生は爆発だ」と表現し、
日頃の養生の積み重ねが、体の健康ばかりか、
次なる人生設計も変えていく・・・
と唱えたわけです。
多くの著書や講演活動で、
東西古今の医学者、哲学者、宗教者の名著を紐解き、
《心のときめき》によって、
生命エネルギー(気)を高めることが
病気を治すだけでなく、
いかに人間に思わぬ生きがいの進化をもたらすか?
というメッセージを送り続け、
病院内に気功道場まで開き、
この4半世紀にわたって、患者の心を土台とした、
もう1つの医療=ホリスティック医療を実践してきたわけです。
ときに、哲学者・ベルクソンの著書「創造的進化」を取り上げ、
ときに、白隠禅師の「夜船閑話」という名著を紹介しつつ
いのち丸ごとの治療法、人生観を持つことが、
これからの時代、いかに大切になってきたかということを
噛み砕くようにして分かりやすく講演もされています。
ガンの患者を見れば、
すぐに、メスをふりかざし、
化学劇薬を飲ませて荒治療を迫ってくる
普通の医師と、ここが大いに違うところです。
さて、白隠禅師を難病の結核から生還させた座禅内観法が
いかに人間を元気づけるか?
著書「夜船閑話」から、もう少し抜粋紹介しておきましょう。
「元気をして一身の中に充塞せしめ、
三百六十の骨節、八万四千の毛竅(けあな)、
一毫髪ばかりも陥欠の処なからしめんことを要す。
是れ 生を養ふ至要なることを知るべし」
というわけですから、
僕のような凡人には、ちょっと手ごわい修行で、
尻込みしてしまいますが、
その次にあげられた、
北宋時代の詩人で
書家、画人であった蘇東坡の例を読むと、
なんとなく、ホッとします。
20代にして仙人の秘法で難病の結核を治し、
座禅内観によって悟りの境地を開いたという、
その厳しい修行の中にも、
ひょっとしたら自分にもできるかも知れないと
読む人の心を動かすような箇所が
いくつも見いだせるところが
この本の面白いところです。
きっと、白隠禅師は、禅宗にとどまらず、
人心の機微に敏感で、
また仙人道や道教(タオイズム)にも精通。
いのちの謎には、人一倍の好奇心に燃える
博覧強記の人だったのでしょう。
続きはまた明日。
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