第359回
あなたの年齢は《40億50歳》
昔、「死と老化の生物学」という本を読んで、
とても刺激を受けたといいますか、
心ときめいて、なにか生きていくことが
面白くなってきた――という話です。
いったい「死」とは何か?
最近では、宗教が得意とする「死とはなにか?」――
こうしたテーマを医学のみならず、
物理学や農学、さらに生物学の分野から
説き起す海外書が増えてきました。
死とは「自然死や老化だけで起こる」ものではない!
また死とは「種の保存のために有益である」
と考えられてきたが、
それは悲しみの感情を慰めるための論理に過ぎない!
これまでの生物学説の
「常識のウソ」を次々と覆していくところに、
僕の読んだ「死と老化の生物学」
という本のオモシロさがあります。
死とはなにか?
長寿難病時代だからこそ、
一足飛びに宗教や霊界の世界に埋没するのではなく、
宇宙誕生150億年の
生命エネルギーの歴史の中
いや脊椎動物5億年や
生物40億年の細胞の変遷の中で捉えると、
より納得できる長寿処世の意味が、
一人一人の心に芽生えてくるかも知れません。
たとえば、死とは事故、災害、疫病や食糧不足、
弱肉強食といった“受動的な死”でも起こり、
細胞のアポトーシス(自爆死)といった
“能動的な死”=自己コントロールによっても
起こるものだと解説しています。
一例を挙げれば、胎児のこぶしの塊のような手から
指の間の細胞が死んでいき、
5本の指が形成される――
この細胞の自爆死が生命体の維持に
繋がるのだといいます。
また、老化を遅らせる「長寿」についても、
なかなか興味深い研究が紹介されています。
酵母や線虫といった
単細胞生物の突然変異体が
3倍も長生きするだけでなく、
人間も100歳を超えると
死亡率が25%も減るというのですね。
カロリー制限をすれば
120歳まで生きることも可能だというのです。
あなたの年齢は漫然とした50歳ではなく、
生物年齢40億50歳――と逆発想してみると、
帯津医師の「死を恐れず生の希望を抱く」という
養生法の知恵もよく分かるのではないでしょうか?
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