第343回
梅干しは「万病の薬」
30年前のベストセラー
「おばあさんの知恵袋」(復刊版はこちら)には
どんな「スローヘルス」な知恵が書かれていたか?
「梅干し」という項目について話の続きです。
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「申の年に漬けた梅干しは中風のまじない、
とやら申しまして、わたくしの里では
申の年にはいつもの年の倍以上の梅を漬けました。
蔵に入りますと申の年の梅干しがずっと残っておりまして、
百年以上たっても、
もうとろとろになったものも残っておりました。
村に病人が出ますと、
夜の夜中に人がとんでまいりまして、
祖母は蔵に入り、
食中毒には新しくて酸味の強いもの、
中風には申の年のものをと選びました」
「庭に豊後梅とピンクの八重咲きの二本の木が
たくさんの実をつけました。(略)
青梅を枝から振るい落すとき、
刺されると痛い毛虫も落ちてまいります。
梅一升、塩2合、と決まっておりましたが、
甘口には塩を控え、かびが出ないように
かめなどの消毒に気を配りました。(略)
それしても、青梅が出廻るのはほんの束の間、
やり直しはできないのでございます。
三日三晩の土用干しは、この間に甘味が出ると申しまして、
昼間は何回も回転させて全体に日を当て、
夜は夜露を吸わせます。」
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さらに、マムシなどの毒虫に噛まれた場合も
梅干を使ったといいます。
とにかく、梅干のアミグダリンや有機酸は
腸の中での抗菌作用が著しいので、
食中毒の季節の家庭の常備「薬」であったわけです。
血液浄化、疲労回復、整腸作用、老化防止など
さまざまな効用が見直されています。
著者の桑井いねさんが
「おばあさんの知恵袋」に書いている
「梅干」とは、100年、200年まえの昔話ではなく、
ほんの数十年前に日本人が心得ていた
スローへルス(温和力)の知恵なのです。
下痢や便秘はアレルギーやガンなどの
生活習慣病、長寿難病の元凶となります。
胃や腸の粘膜を丈夫にしてくれる梅干は
あなたの家庭の食卓に
常備しておくことをオススメします。
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