第271回
「食物で馬鹿にも利口にもなる」
≪食こそいのちの源だ≫
≪人間は食のおばけである≫と看破して、
玄米菜食と東洋医学の優越性を、
西洋医学の本拠地で説いて回った
マクロビオティックの始祖・桜澤如一の
原理や哲学を学びたいと思う人は、
まずは、「食生活の革命児」
という桜澤の評伝を読むことをおすすめする――、
という話の続きです。
桜澤如一という稀有の天才の
人となりをコンパクトにまとめた評伝です。
いかにも機智に富んだ桜澤らしい語り口の講演が
随所に引用されておりますから、
わかりやすく読めるものです。
たとえば、いまの時代にも通用する、
肉食過多、そして砂糖、菓子、果物といった
スイーツ過食によって起こる
難病奇病の原因を次のように述べています。
「――食物によって人間は病気にもなるし、
ばかにも利口にもなる。
すべてのものは陰陽から成っており、
それが宇宙の秩序である。
人間には男女があり、食物にも体を冷やし、
ゆるめるもの(陰性)と、温め、締めるもの(陽性)がある。
動物である人間が、動物性の食事をとることは、
宇宙の秩序に反したことだ。
また、日本人の健康を害している1番のものは砂糖だ」と。
さらに、欧米で実証した奇跡的治療のエピソードも
たくさん出てきます。
たとえば、子供の健康は、
その両親の食事に対する考え方次第だという実験譚です。
「玄米が奇跡的な効果を実証したことがある。
ベルギーのブリュッセルに生後四ヵ月目から
四ヶ月間吐きどおしに吐き、
もう長くないと思われる赤ん坊がいた。
父は薬学博士、母は二十年の経験をもつ薬剤師であった。
この両親はなまじ近代栄養学の知識が深かったために、
四ヶ月目から母乳をやめて
人工栄養を与えていたのである。
かれらは じゃが芋、みかん汁、りんご、砂糖で食事をつくり、
塩を一ミリももちいなかった。
訴えを聞いたリマ(桜澤夫人)は、
玄米を自分でよく噛み、口うつしで与えた。
それを赤ん坊は三〇〇グラムも食べたが
吐くことはなかった。
ごま塩をやるとうまそうに飲みこみ、
梅干しも平気だった。
そして三回の指導で完全に回復した」(以下略)
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