第269回
桜澤如一を丸ごと知る≪入門書≫
西洋医学の本拠である
パスツール研究所やシュバイツァー研究所に
握り飯を抱えて乗り込んだ
マクロビオティックの始祖・桜澤如一とは、
まさに≪20世紀最大の食の革命児≫
だった――という話の続きです。
前にも書きましたが、桜澤如一という人は、
若き日に桜澤涙声という雅号を持つ
詩歌にも優れた人でしたから、
名著「東洋医学の哲学」「身土不二の原則」をはじめとして、
理論書、実践書、エッセイをたくさん残しております。
どれも、西洋物マネ式の機械論医学に警告を発する内容ですが、
随所に、天才に特有の論理の跳躍が見られ、
初めて、読む人には、ちょっと手ごわいところもあります。
ですから、もし、桜澤如一の
マクロビオティック原理や哲学を学びたいと思う人は、
直弟子の食養指導者から話を伺うことが近道ですが、
まず≪桜澤如一を丸ごと知るための入門書≫
をお勧めしたいと思います。
それは、タイトルもズバリ
「食生活の革命児」という本です。
すでに絶版になっていますが、
古書サイトなどで探せば求められます。
わが身を挺して世界各地に説いて回る、
≪食の伝道師≫の姿が、
同行した夫人のリマさんの証言と、
膨大な著書をもとにして、
1冊にまとめ上げられたものがこの本です。
≪桜澤如一を丸ごと知る入門書≫としてはおすすめです。
アフリカの奥地で、
自らの熱帯性潰瘍を患い、
玄米菜食(正食)によって治療実証しながら
西洋医学の雄であるシュバイツアーと対決する話、
さらに握り飯を抱えてシベリア鉄道横断し、
パリのパスツール研究所に乗り込むという、
じつに破天荒な武勇伝を綴った評伝ですから、
この本、じつに面白い読み物でもあります。
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