第213回
なぜ≪おばあちゃんの手当て法≫は懐かしいか?
「身近な食物による手当て法」(正食出版・刊)という本を紹介し、
≪おばあちゃんの知恵≫について解説してきました。
皆さんの中にも、すでにご存知の方もいると思いますが、
内容は以下のようなものでした。
・正食による治療の基本――≪玄米による手当て≫
・神経痛などあらゆる炎症に≪生姜湿布≫
・目の病に≪番茶湿布≫
・内臓の強化・活力の増進に≪梅醤番茶≫
・打ち身・毒の吸い出しに≪里芋湿布≫
・痔・婦人疾患に≪大根千葉湯≫
・セキ止め・ゼンソクに≪レンコン湯≫
・難病・奇病に≪ビワの葉療法≫ ・・・
まさに≪食は薬に勝る≫≪キッチンは家庭の薬局≫、
≪食は運命を変える≫――
つまり≪薬食同源(医食同源)≫ということを、
昔の人は子供たちに伝えてきたわけです。
では、この≪食の手当て法≫の不思議を、
僕たちはどう解釈したらよいのでしょうか?
それは、病原は切り取れば治るという西洋医学の考え方では
解明できないことでしょうね。
ちなみに、西洋医学と東洋医学の考え方の違いは
以下のように相反したものです。
●西洋医学は≪対治≫療法、
つまり、病巣の切除を第一とする
「敵対攻撃力」で治療する≪単眼思考≫とすれば、
●東洋医学は≪同治≫療法、
つまり、複雑に入り組んだいのちを自癒力で喚起して
「調和複合力」で処方しようとする≪複眼思考≫である――
東洋医学の基本では
≪万物は陰と陽の相克相補の関係である≫と考え、
そのバランス=調和を図ることが究極の生き方だと考えます。
ですから、極端に冷えた体やすごい熱を出した症状などの
体のバランスを崩した状態を元に戻すために、
≪いのちの源である食べ物≫を調和工夫することで
体の歪をただす――
こう考えたら≪薬食同源≫の意味、
さらに≪マクロビオティック≫や
≪おばあちゃんの知恵≫の効用の謎も分かるでしょう。
僕たちは、この近代130年の西洋医学と西洋哲学一辺倒の教育を
受けてきましたから、いまさら東洋医学だ、いかがわしい・・・
と軽侮するのが“常識”となっていますが、
どこの大病院でもガンのような難病には
手も足も出ないことも現実です。
ところが、患者もだんだん賢くなってきたからでしょう。
主治医に黙って漢方薬や食事療法、
サプリメントなどを飲んでいる人が
半数以上いると厚生労働省の研究班のデータにあがっています。
これも≪おばあちゃんの知恵≫に共通する考え方です。
医師の間では
≪西洋医学が優れている。東洋医学は劣っている≫
と盛んに議論されますが、どうでしょうか?
生身の患者にしてみれば、
そうした医業の生業を守るための論争など
どうでもよいことではないか?
この複雑怪奇な≪いのちの危機≫から立ち直り、
どの方法でもよいから
≪いのちが助かればよい≫――それが生身のガン患者の
腹の底からの願いではないでしょうか?
ても、東洋医学に不審を抱いている人には無理には薦めません。
昔から伝わる「おばあちゃんの気配りの知恵」と懐かしく思い、
自分に合うなァと感じたら使うようにしたらよい――
僕は、おかしな化学劇薬の副作用に悩まされるよりは、
ずっと快適な養生法が≪おばあちゃんの知恵≫には
たくさん秘められている、
いま日本人が学び直すことは多いと思っています。
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