第210回
与謝野晶子の≪心のパワー≫を肉声で聞く・2
群馬県の名湯・猿ヶ京温泉の「猿ヶ京ホテル」に泊まって、
僕の好きな歌人の1人である、
与謝野晶子の和歌の揮毫(きごう)を、
ただ字面で追うだけでなく、情熱の女性・晶子自らが
を朗々と読み上げる≪肉声≫テープを聞いた――、
ここは、≪声を出して、自分を語りなおそう!≫という
≪心のエンパワー≫の粋を極めた
ナラティヴ・ワールド(物語の館)だから
心身がすっかりリフレッシュした――、という話の続きです。
なぜ、猿ヶ京ホテル(※1)に行ったかといいますと、
このホテルの女将・持谷靖子さんは、
マクロビオティック料理の師範でして、
僕の敬愛するマクロビオティック「正食協会」の
岡田定三会長と岡田昭子校長から紹介されたからなのですが、
その日は、正食協会の発行している
「月刊むすび」(※2)誌によって、このホテルの女将であり、
「椿(つばき)山房 三国路与謝野晶子紀行文学館」(※3)
の館長でもある、
持谷靖子さんと僕の対談が企画されたからでした。
じつは、前にもこのコラムや拙著「大正霊戦記」で書きましたが、
僕の母方の祖父である沖野岩三郎は100年前の大逆事件を告発した
大正期の作家でして、与謝野晶子・寛夫妻とは
親密交際を続けていた≪縁≫もありまして、
持谷靖子さんの著書「与謝野晶子の家庭教育論」という本を中心に、
≪いま見直すべき日本人の伝承パワー≫といった主題で
対談したわけです。
ちなみに≪教育の基礎は国語力にあり、日本の文化伝承にあり≫
とは、「国家の品格」の著者・藤原正彦さんや
「声を出して読む日本語」の著者・斉藤孝さんが、
いま盛んに提唱していることですが、
持谷さんはその著書で≪与謝野晶子は、すでに90年前に
『教科書以外の教科書』(婦人世界・大正2年)という評論の中で
強調していることだ」と指摘しておられます。
持谷さんには、もう1つの顔があります。
猿ヶ京のある群馬県新治村に伝わる古老の民話を
長年にわたって収録する熱心な郷土研究家でもあるのです。
ホテルでは、毎晩、自らが<民話の語り部>となって、
心温まる昔話を宿泊客に聞かせている人ですから、
まさに、この日の対談が
≪与謝野晶子の心のエネルギー≫にじかに触れる
エンパワーメントな内容となったことはいうまでもありません。
旅情を愛する歌人・与謝野晶子はこの猿ヶ京温泉に2度、
水上や湯檜曽にも2度訪れ、221首の和歌を残しました。
ホテルの女将・持谷靖子さんの語り、
詠う一言一言を聞いていると、
まるで≪生き写しの晶子≫に出会っているような気分に
なってくるから不思議です。
対談の詳しい内容は、いずれ「むすび」誌に掲載された折に
改めて紹介させていただきますが、
「猿ヶ京ホテル」は源泉かけ流しで巨石を積んだ
大露天風呂が好評です。
自家製の豆を材料とする四季折々の
「豆腐料理」も評判のホテルです。
リクエスト予約でマクロビオティック料理も楽しめます。
東京から上越新幹線の上毛高原駅、さらにバス。
2時間足らずの温泉郷です。
与謝野晶子の≪心のパワー≫に触れて、
あなたもナラティヴ・エンパワー
(詩文・物語による生命パワーの喚起)を体感してみませんか?
声を出して≪自分のいのちのエネルギー≫高めてみましょう。
きっと、心がときめきに満ちて、
全身がリフレッシュするはずです。
●問合せ先
群馬県利根郡新治村猿ヶ京1175
電話0278-66-1110
※1 http://www.sarugakyo.net/
※2 http://www.macrobiotic.gr.jp/publication/musubi/top/index.html
※3 http://www.sarugakyo.net/bungaku/
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