ガンを切らずに10年延命-関根 進

再開!元週刊ポスト編集長の目からウロコの体験秘話!

第205回
「毛竅(けあな)八万四千より諸病は除かれてしまう」

新刊「養生という生き方」が贈られてきました。
こんどの本は「ノジュール」という旅の雑誌の
連載エッセイをまとめたもので、帯津医師の
「人は150億年の虚空からやって来て、
生老病死をしっかりと生ききり、また虚空に帰る旅人だ。
だから、その旅情を大切にして、
いのちのエネルギーの場を高めながら生きていく――
これが養生です」という自説を、余すところなく書き尽くした
“攻めの養生法”の集大成の本です

帯津医師の「攻めの養生法・7訓」については、
前にもこのコラムで引用させていただきましたが、
この本の冒頭、「21世紀は“攻めの養生”の時代」という項目で
中国の「祝悠健康長寿」という本から取ったという経緯も
書いておられます。

1.勤運動(運動にいそしむ)
2.練気功(気功を練習する)
3.節飲食(食事を節する)
4.暢情志(心をのびやかにする)
5.慎起居(正しい日常生活)
6.適環境(環境に適する)
7.補薬物(薬で補う)

帯津医師は、ご存知のように、
西洋医学にも東洋医学にも精通した、
日本のホリスティック医学の草分けですが、
とくに、中国でいうところの導引吐納、
つまり気功の達人としても有名ですから、
夏目漱石の小説や正岡子規の日記のみならず、
中国の健康・養生の故事や漢詩、
とくに老子や荘子の文章からの教訓が
この本には、たくさんちりばめられています。

「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず
万物は陰を負いて陽を抱き、冲気を以って和を為す」(老子)
これは、「道生一、一生二、二生三、三生萬物。
萬物負陰而抱陽。冲氣以爲和」――
生命の根源が分かれて陰陽の「二」となり、調和して
「三」となって、万物が流れる――といった
老子をはじめとする中国哲学の一元論を物語る有名な箇所です。
また、北宋時代の詩人で書家、画人であった蘇東坡の有名な漢詩も
「私の愛唱詩」としてあげておられます。

春宵一刻値千金  花有清香月有陰
歌管樓台聲細細  鞦韆院落夜沈沈

文字通り「春の宵はわずかな時間でも千金に値する」
という意味ですが、自らが励行する
「調和道丹田呼吸法」との関連で、蘇東坡が書いた日記を披露。
「毛竅(けあな)八万四千より、雲霧のごとく蒸散して、
諸病は除かれてしまう」という箇所は、
帯津医師が敬愛している白隠禅師の「夜船閑話」にも
共通している――として、その東洋思想の因縁の深さ、
帯津医師の養生奥義に触れているのは、とても面白い話です。

どうですか? 
ここが帯津医師の本が、
ほかの医師本や医学書と大いに違うところです。
読んでいくうちに、先生のいう“ときめきパワー”が
ふつふつと沸き出でてくるから不思議です。
まさに、このコラムでも強調している、
“ナラティヴ・エンパワー”
(詩文・物語による生命パワーの喚起)
に溢れた本でありますから、
ぜひ、帯津ファンならずとも読んでください。


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2009年6月9日(火)

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