第186回
紙かデジタルか・・・“お金のなる木”はドッチ?
新聞は生き残れるのか?出版は生き残れるのか?
と、騒がれてから久しいわけですが、
あなたも新聞や週刊誌を読む機会が減ったと思いませんか?
「10代男性の新聞を読む時間はわずか3分間。10代女性は2分間。
それに比して、インターネットやメールには
男性が30分間、女性が45分間を使っている」
という統計を読んだことがありますが、
僕や同輩たちのような活字で育った中高年にしても、
パソコンやケータイと付き合う時間が多くなったのですから、
いま新聞や雑誌を売ってメシを食べている会社は
タイヘン、困難な時代となってきました。
おまけに、収益の半分近くを賄っている広告収入が、
この大不況の影響で激減。
無駄な高給は払えぬと、大手の雑誌の休刊。
さらに中小の出版社も次々と消えています。
とくに、紙メディアを追い込んだのは、
≪3G携帯電話≫と≪軽量モバイルパソコン≫が表徴する
最近のデジタル・メディア・システムの
≪技術革新≫と≪格安販売≫でしょう。
僕にしても、携帯電話はソフトバンクの≪iPhone≫、
モバイルパソコンは台湾製ASUSの≪Eee≫を、
必ず、外出時に、また旅行中に持ち歩いています。
電話やメールだけでなく、情報収集や写真撮影、
そしてナビゲーションやショッピング、音楽、読書、
さらに、原稿書きにまで重宝しているわけです。
≪iPhone≫なら産経新聞も無料で読めます。
170ヶ国との海外通話も自在です。
メディア戦争の決着は≪紙か?デジタルか?≫といわれれば、
残念ながらデジタル装置の革新と工夫に
“軍配が上がった”ようです。
僕が出版社の役員を止めて、オンライン投資や
インターネット・コーディネーターの仕事に転じたのは15年前。
また、10年前に、僕がガンから「命拾い」できたのは、
やっと発売された軽量モバイルパソコンの
進歩のお蔭だということは、
このコラムでも何度も書いてきました。
「食道ガンの手術って100人に80人は助からない」という
大学病院の医師も家庭医学書も教えてくれない“真実”を、
インターネットというデジタル・メディアが、≪軽快≫に、
そして≪タダ≫(無料)で教えてくれたわけです。
運命は紙一重でした。
ところで、僕の週刊誌時代の後輩たちがやっている、
≪イーブック・ジャパン≫(※1)という
メディア・ミックスの会社があります。
「ゴルゴ13」「課長島耕作」といった人気劇画を主力に、
吉川英治、池波正太郎、藤沢周平らの名作文学から、
「東洋文庫」、「岩波文庫」や図鑑類までのアイテムを
豊富に揃えて電子書籍販売を大展開しています。
もちろん、イーブック・ジャパンでダウンロードした漫画は
iPhone/iPod touch でも読める
「iPhone/iPod touchサービス」も実施中。
4月からは、業界初のウェブ・マガジン
『KATANA』(価格105円、税込)(※2)が、ここから創刊されました。
これからは≪イーブック・ジャパン≫のような事業展開が
ますます期待されるところでしょう。
さて、印刷技術と共に進歩してきた活字文化は、
人間の“脳の論理化”を育むという、よい面を持っています。
ですから、とくに名著といわれる≪書籍≫には
膨大で貴重な情報がコンパクトに蓄積されているわけですから、
これからは、いかに有用価値の高い
≪書籍≫(映像・劇画を含めて)を
≪3G携帯電話≫と≪軽量モバイルパソコン≫といった、
デジタル・メディア・システムに載せて有料課金できるか?
この≪メディア・ミックス≫の時代に突入したのではないか?
いや、本格的な“お金のなる木”が
見えてきた時代といえるでしょう。
※1 http://www.ebookjapan.jp/shop/
※2 http://www.ebookjapan.jp/shop/index_katana.asp
|