第174回
食道ガンの胸腔鏡・腹腔鏡手術とは?
いま50歳代、60歳代に増えている食道ガン――
その手術とは
「100人に80人は助からない難しい手術だ」といわれますが、
最近、雑誌の記事で、胸腔鏡・腹腔鏡手術による、
合併症リスクや身体ダメージの少ない
食道ガン手術を施す外科医も現われた――、
という記事を読みました。
この記事の冒頭には以下のようなことが書かれていました。
<食道ガンの場合、手術が標準治療だ。
胸や腹部を大きく切開する大規模な手術のため、
肺炎などの合併症による死亡率が高い。
そこで、胸腔鏡と腹腔鏡を併用し、
傷口を小さくして出血も最小限に抑え、
食道と周囲のリンパ節を切除する治療が実施されている。
手術時間も短く合併症リスクが減り、体への負担が少ない>と。
たしかに、以前の手術に比べたら朗報です。
しかし、僕は執刀手術にしても、胸腔鏡・腹腔鏡手術にしても、
中心生命臓器の周りをいじくり回し、
喉の下に胃をぶら下げるような食道ガン治療は、
いまでも、ゴメンだと思っています。
ただし、僕がこの記事で感心したことがひとつあります。
少なくともこれまでは、
しつこく患者が聞かなければ、なかなか医師が教えてくれない、
「食道ガン手術」の大きな欠点について、
医師サイドが素直に明らかにしてくれている点です。
<食道ガンの手術は、胸、腹を大きく開くので、
痛みでうまく呼吸できない患者も多く、
術後2〜3日は人工呼吸器を使います。
これが原因で肺炎や呼吸困難などの合併症が起り、
死に至ることもあります。(略)>と。
確かに、僕も手術前に、携帯用の呼吸練習器を医師から貰って、
ベッドの上で何度も何度も呼吸練習した昔を思い出しました。
それにしても、食道ガンの手術とは、
いまだ、いかに難しく、惨いものであるか――、
その実態が分かったと思います。
50代を過ぎると、一気に老化現象がはじまります。
身体の過酷に使った部位、また先天的に弱い部位から、
ガンがスキを付いて侵食する――そう考えたらよいでしょう。
とくに、熱いもの、辛いもの、美食、暴飲、さらに猛煙を
止められない中高年は、日々の生活姿勢を改めましょう。
自らの生命パワーを高める生活に改めましょう。
こと食道ガンに限りません。
もし、厄介なガンにかかったら、
まずは、医師が「絶対大丈夫!」といっても、
ひとまず疑って、手術や抗ガン剤の功罪の詳細について、
家族と一緒になって勉強しましょう。
たしかに手術や抗ガン剤は、ガン細胞もやっつけるでしょうが、
それに倍するほど体にダメージを与えること――
これを忘れてはなりません。
一所懸命に探せば、自分にあった治療や養生の選択肢は
別にもたくさんあります。心ある医師もおられます。
ガンといわれても、
「あわてない、あきらめない、あせらない」――
この3Aをしっかりと覚えて、
この長寿難病時代を上手に乗り切りましょう。
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