第172回
50代、60代に「食道ガン」が急増
消化器系のガンといえば胃ガン、大腸ガンが多いのですが、
僕のかかった食道ガンの発症率はガン全体で10番目であり、
それほど多いガンではありません。
しかし、この暴飲飽食の時代、さらにタバコやストレスが重なって
食道ガンになる人が次第に増えてきたようです。
50歳代から60歳代に急増しているといわれています。
僕は、若き日に、週刊誌の編集長を11年続け、
暴飲暴食はもちろん、2日や3日の徹夜は当たり前。
その因果応報といいますか、自業自得といいますか、
体調を崩して50歳代で役員を退職。
とうとう58歳の冬、
食道に6センチ=ソーセージ大の悪性腫瘍ができまして、
ご飯も喉を通らなくなってしまったのです。
「食道ガンなんて手術で簡単です。すぐに完治します。
術後、2週間でゴルフだってできますよ」
という外科医の甘言に乗せられて、
ガン病棟で抗がん剤と放射線の治療を受けつつ、
手術の日を待っていたのですが、
たまたま入院中に持ち込んだノートパソコンで
インターネットを検索して調べているうちに、
食道ガンの手術とは
「100人に80人は助からないもっとも難しい手術だ」という、
ある学会ニュースを読んでしまって、びっくりして手術を拒否。
いわば、「抗ガン剤+放射線」の併用、
さらに、「複合漢方薬・天仙液+栄養補完食品・SOD」
を組み合わせることによって、
奇跡的に寛解(一時的に腫瘍が小さくなること)し、
以後、次のような3つの在宅療法=『薬草&薬食療法』
を継続した結果、
1.天仙液による「漢方複合療法」(王振国医師)
<日本では未承認薬>
2.漢方せんじ薬を中心とした「ホリスティック療法」
(帯津良一医師)
3.玄米菜食によるマクロビオティック食養生法
(山村慎一郎・食箋指導者)
再発・転移を免れて、
幸運にも丸々10年生き延びてしまったわけです。
この体験記と「逆転発想のガン患者学」については、
拙著「ガンを切らずに10年延命――複合漢方薬の驚異」
に書いたことは、もう何度も、このコラムで書きました。
では、「なぜ食道ガンの手術がガンの中でもっとも難しいのか?」
さらに、
「なぜ食道ガンの手術の難しさを医師たちが伝えないのか?」
――、この疑問について、少し書いておきましょう。
みなさんの知り合いにも食道ガンや喉頭ガンで
若くして命を落とした人がかなりおられるでしょうし、
また、辛いものや熱いものが好きな美食家、
さらに酒、タバコから離れられない生活を続けている人は
喉や食道部分のガンに侵される危険性は高いからです。
さて、食道というと、胸骨の裏側にある水道管のようなものだ、
もし腫瘍の局部をチョキンと部分切除すればいいのだから
簡単だ――、
そう思っている人が多いと思います。
僕もガンになるまでは、そう気楽に考えておりました。
しかし、よく胸に手を当てて考えてみてください。
食道の位置とは、硬い肋骨に囲まれ、
肺や心臓という中心生命臓器のさらに奥、
背骨の前に沿って喉から胃をつなぐ長さ40センチ
膜の厚さ1ミリ半ほどの薄い管なのです。
ですから部分切除とはいかず、40センチの全摘出となるわけです。
というわけで、肋骨をへし折って胸を開き、
腹を割き、喉を切る・・・という、
いわば“三枚おろし”の10時間以上の惨い大手術となります。
とても「簡単に終わる手術」ではないのです――。
ところが、
この惨さを患者に詳しく説明する外科医は殆どいません。
ここに、いまの「ガン病棟」の問題点が隠されているのです。
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