第155回
頻尿・前立腺・冷え
僕が「ガンを切らずに10年延命」したからといっても、
すべて順調に推移したわけではありません。
入院時には化学劇薬の抗ガン剤の副作用疼痛、
放射線の後遺症でずいぶんと苦労しました。
また、歳を加えるに連れて、誰しもが、
あちこちの身体的な衰えが加わり、
別にガンの再発ということでなく、
体調の不良にもいろいろと襲われました。
一番、危険なのは、厳寒の冬とか、梅雨時の季節の変わり目です。
ガンになり始めの頃は、
血液検査のマーカー値が少し上がったといわれては、
「スワッ、ガン再発か?」などと医師や看護師たちと
大騒ぎしたものですが、だんだん、長くガンと付き合い、
さらに齢を重ねてくると、いわゆる「老化現象」が、
とくにこうした季節に襲ってくるものだと、
気がついてくるものなのです。
最近では「あせらない、あきらめない、あわてない」の3Aこそ、
上手に長生きのヒケツだということが分かってきたわけです。
さて、昨年夏、
「胃に潰瘍が出た、マーカー値が上がった」といわれて、
「スワッ!ガン原発か?」とちょっと大騒ぎしたことがありました。
しかし、そのときも
「あせらない、あきらめない、あわてない」と思い起こして、
手術や化学劇薬ではなく、
帯津医師の処方する「漢方せんじ薬」や、
王振国医師の漢方複合薬「天仙液」「天仙栓」、
そして、体を温める「ビワの葉温灸」、正しい食事をする
「マクロビオティック玄米菜食法」を真面目に励行することで
なんとかクリアした――、
この話はまえにもこのコラムで書きました。
ところが、この冬、やけに足が冷えて困ったなあと
思案しているうちに、オシッコが近くなり、
夜、寝ている時も3回も4回も、トイレに起きる。
どうも残尿感が残って気持ちが悪い・・・というわけで
検査してもらうと「初期の前立腺肥大の頻尿」だと
分かったわけです。
皆さんの中にも「頻尿・前立腺・冷え」に悩まされている人は
多いと思います。
ガンにかかり始めの頃なら、何でもかんでもガンと結び付けて
「ワーッ、前立腺ガンの原発か?」と大騒ぎしたでしょうが、
もう10年経ちました。
とくに、中高年の病気とは、ただ、
その局所が壊れているというのではなく、
身体全体の老化現象の一部であり、
バランスの崩れから起っているケースが多いと
分かってきましたので、僕なりに、いろいろな治療法・養生法の
組み合わせの工夫を凝らしてみたわけです。
僕の場合、4年ほど前に、風呂場で転がって、
椎間板ヘルニア(第1腰椎圧迫)で
1ヶ月ほど入院したことがありまして、
それ以降、とくに腰から下の脚がしびれたり、
胃や泌尿器の神経がやられて胃潰瘍が出たり、
頻尿になったりすることは分かっておりましたから、
ガンの医師たちがあわてるほど、あせらなかったのです。
ところが、いまの“縦割り医療”の大病院には、
心身の全体を診る、いわゆる“総合医”がおりませんから、
こうした中高年の複雑老化病の症状を説明するのは
とても大変なのですね。
消化器外科、整形外科、泌尿器科・・・と巡り巡ったのですが、
医師たちはそれぞれの立場で「局所対処療法」を施すだけですから、
僕のような「腰痛」「胃」「前立腺」が複雑に絡み合った
「中年老化症状」に対して
根本的な処方などしてもらえないわけです。
たとえば――
・ガン専門医は検査数値を見るだけで
「ガンの原発や再発」を疑い、直ぐ手術しましょうと迫ります。
・整形外科の医師は鎮痛剤を処方します。
・泌尿器科の医師は筋肉を緩めたり、
神経を押さえる薬を処方します。
これでは「老化進行」を抑える根本治療とはなりませんから、
いっこうに改善されないことになります。
というわけで、この冬の僕を襲った
「頻尿・前立腺・冷え」に対して、
やはり、「漢方力」の組み合わせを工夫することにしたのです。
このコラムでも時々書いている
『久病良医』(=長わずらいの患者こそ優れた医師)の実践です。
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