第147回
10年後の「いのち」に投資するぞ
この長寿難病時代になって、
ほんとうに患者と医師の付き合い方が難しくなってきました。
医師も大変なら、患者はもっと大変です。
僕の主治医の帯津良一医師は、
「医者はマラソンの伴走者であれ」
「患者の寂しさの分かる医師であれ」を信条として、
実践されている方ですから、僕はほんとうによい先生に
めぐり合ったと思っております。
この「医者はマラソンの伴走者であれ」という言葉は、
その著書「あるがままに生き 死を見つめる 7つの教え」
の中の「7つの攻めの養生訓」という話の中に書かれています。
1.勤運動(運動にいそしむ)
2.練気功(気功を練習する)
3.節飲食(食事を節する)
4.暢情志(心をのびやかにする)
5.慎起居(正しい日常生活)
6.適環境(環境に適する)
7.補薬物(薬で補う)
この7訓は、ご存知の方もおられるでしょうが、
病気治療の受け方のみならず、
患者自らが、日頃の体質改善に努力する
養生目標を7つにまとめたものですから、
僕も部屋の壁に貼って忘れないようにしています。
たとえば、6番目の「適環境」(環境に適する)の養生とは、
「病に克つには、身の回りの生命場のエネルギーを高めることだ。
出来るだけよい場に身をおくことがよろしい」と、
帯津医師の持論が書かれています。
そのヒケツはいい場を作るのは「人」だといっておられます。
「どういう人が集まる場に身を置くかが、とても大きい。(略)
いい人と付き合っていくことで、自分が上がっていく。
誰と付き合って、どういうコミュニケーションにあって、
どういうネットワークに属していくかは、
私たちが想像しているよりもずっと大きいのです。
だから相性のよくない医者と付き合う必要もないのです。
そういう医者と我慢して付き合うほど
ばかばかしいことはない。(略)
医者と患者の相性が大事です。
私はいつも 『医者はマラソンの伴走者』といっています。
そばで一緒に走って励ましてくれる人であって、
決して修理工ではない。
ですからあまり気がすすまない人と
一緒に走ってもいい結果にはつながりません」と。
あの10年前、メスを振りかざす、大学病院の医師と決別して、
病院を“脱走”した体験を持つ僕にとっては
「わが意を得たり」の考え方でした。
みなさんの中にも、帯津医師の「7つの攻めの養生法」を
読んでいる人も多いと思いますが、
日常のちょっとした工夫と知恵で、
ガンのような複雑怪奇な魔病と折り合っていく――、
医師任せ、病院頼み、そして西洋科学妄信だけでなく、
患者自身が、ガンに負けない体質作りを
日々励行していくことがとても大切になってきたわけです。
「10年後の自分の“いのち”にしっかり投資するぞ」――、
こうした発想法が、長寿難病社会の賢い患者学であり、
元気に長生き!――、上手にいのちを掴む近道だと
僕は考えています。
もし、医師の気持ちに余裕が持てないのが現状だとすれば、
とくに患者は、
「あわてない あきらめるなよ あせらない」の心得を
しっかり持つことが大切でしょう。
あなたは、どう考えますか?
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