ガンを切らずに10年延命-関根 進

再開!元週刊ポスト編集長の目からウロコの体験秘話!

第143回
賢く医師と付き合う法!父親主義か?母親主義か?

なぜ、世間の常識に逆らって、じっくり、ゆったりの
スローヘル(温和)養生法の知恵を身につけ、
僕は再発転移もせずに延命することができたのか?
それはこの10年間、ガン病棟で命を落していく、
同輩、先輩たちの死を見るにつけ、ひょっとしたら、
「ガンそのものではなく、未熟な手術や院内感染、
さらに治療ミスで命を落としたのではないか?」と、
何度も何度も疑念を抱いたからです。

逆に、僕は“手術拒否”“病院脱走”を決断したがために、
心ある第2の医師たちに何人も巡り合い、
じっくりと治療を選択することができました。
本当に、人間の「運」と「縁」は紙一重で分かりませんね。

ちなみに、ガン細胞とは1ミリから1センチになるのに
9年かかるというデータがあります。
ガンによる死とは、これが脳、肺、心嚢といった
生命維持装置に転移して始めて起こる現象なので、
「ガン宣告即=死」という論理は医療迷信の類に近い話なのです。

僕が敬愛した外科医の1人、
ドクハラ撃退の提唱者・土屋繁裕医師は
「ガンと宣告されてもじっくり時間をかけて
治療の選択をすべきだ」といっておられます。
主治医であり、ホリスティック療法の権威である帯津良一医師も
「ガン患者は退院後を死と再発を待つ5年間にしてはいけない。
自分の納得する治療を選んで、人生を全うすべきです」
と教えてくれます。

よくテレビの闘病記ドラマを見ていると、
末期患者と家族のお涙頂戴式の美談が紹介されます。
またガン指南書を読むと、
ターミナルケア(末期緩和治療)や
サナトリー(死学)といった「死に際の哲学」が切々と語られます。

しかし、こうした極端な末期ガンの症例ばかりを読みすぎて、
ガン宣告即=死と早合点していけないと思います。
ところが、現実のガン病棟では、どうでしょうか? 
検査や診断を経て、大抵の患者がまず問答無用の手術や
抗ガン剤を勧められるシステムになっております。

もちろん、信頼できる医師に巡り合って
自分が納得した治療を受けられれば幸運です。
しかし、執刀医の裏マニュアルには
「患者には知らしむべからず」「患者は生意気なことをいうな」
と書いてあるのではないかと邪推したくなるほど、
治療の説明責任(インフォームドコンセント)が
果たされないのが現実ではないでしょうか?

いわゆるドクハラ医師とは
パタナ―イズム、つまり「医師は父親である。
患者は医師のいうことを素直に聞くべきだ」という
旧い発想から抜け切れないタイプが多いものです。
ですから、僕のようにNO!と突っ張ることも必要ですが、
医師との付き合いは、ときに応じて柔軟にまいりましょう。

大学病院には、ノルマ経営主義にがんじがらめになって、
キレたり、悩んだりしているサラリーマン医師も
たくさんおりますから、患者の方が「先生も大変ですね」と
子供を諭す母親のような態度で、
こちらのペースに巻き込む才覚も
必要な時代になってきていると思います。

ただ、ドクハラに反撃するだけでなく、
“傲慢な父親主義”には“しなやかな母親主義”で応じる。
いまの長寿病弱国・日本で、したたかに生き残っていくためには、
この「いのちを上手に掴む!」心得が賢い患者学の知恵です。
これからは医療ミスやドクハラ、医療荒廃を嘆くだけでなく、
患者や家族が心を強く持って、
賢い知恵を磨いていかなければなりません。
「希望こそ良薬、あきらめは毒薬」です。


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2009年4月8日(水)

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