第134回
ガンは「仇敵」か「恩師」か?――桜澤論文の抜粋
いま発売中の拙著「ガンを切らずに10年延命」は、
たんなる数奇なガン患者の“奇跡の体験”を述べただけでなく、
西洋医学の治療法の限界を補う知恵が、
「漢方医学や伝統療法にある」という視点から、
中国や日本に伝わる、漢方薬や
マクロビオティック食養生法が持つ、
計り知れない<いのちの複合力>について、
分かり易く解説したものです。
いまは標準治療としては認知されなくなった東洋医学の知恵を
患者体験に即して複合的に述べた
数少ない本の部類に入ると思います。
ずばり、小難しい医学書やガン本、
また漢方本に頭をひねらなくとも、
自然と「西洋の医療」と「東洋の医療」の発想法と実践法の違いが
誰にでもスラスラ頭に入るように構成したつもりです。
いわば「スラスラ読める逆転発想の患者学読本」
と思ってください。
というわけで、多くの医師やそれに追従するメディアは、
「東洋の医学なんてエビデンス(科学立証性)がない」
の一言を盾として無視していると思われますが、
一方で、「なんとしても救われたい」と必死に願う
難病患者や家族の方々、
さらに、本来、西洋医学にも東洋医学にも長短があり、
その統合医学、そして、人間の命丸ごとを科学する
ホリスティック医学こそ「これからのいのち学」だと先見する、
医師やジャーナリストの方たちからは、
いまどき「ユニークな本だ」と通読、講評していただけたようで
励ましの手紙やメールもたくさんいただきました。
そうした手紙の中に、
マクロビオティック食養生法の活動拠点ともいうべき、
日本CI協会の勝又靖彦会長から、丁重な手紙と共に、
とても面白い本のコピーが送られてきたのです。
それは、マクロビオティックの始祖である、
桜澤如一が最晩年、いまから45年ほどまえに著した
「癌は人間の仇敵か恩師か」というタイトルで、
日本では単行本化されずに、
フランスで出版された貴重な論文です。
勝又さんの文面では、以下のように解説されていました。
<私(注・勝又さん)が桜澤先生の教えを頂くようになった翌年、
先生が月刊誌に掲載された「癌は人間の仇敵か恩師か」の
コピーを同封させていただきました。
フランスでは単行本(仏語版)となり、
当時の通信文化相アンドレー・マルローにも送呈されました。
「直に礼状が来たよ、昔のこと覚えているんだね」と桜澤は
若い頃の交流を懐かしんでいました>と。
桜澤は、手紙形式で論文やエッセイを
したためるのが好きでしたが、
この論文はパリの同好者というか、
海外のマクロビオティック愛好者に送る
手紙形式で書かれているので読みやすいものです。
前半は「一元論の東洋思想家から二元論の西洋指導者への警告」、
後半は「東洋医学による奇跡ともいうべき
難病快癒の症例を挙げつつ、
西洋医学・西洋科学、西洋哲学の欠陥」に論及。
結論は<ガンこそ現代科学技術とその犠牲となって滅亡寸前にある
全人類の最大の恩師だ>
<食養生こそ二元論で憎しみ合う世界人類に
“平和”をもたらす最高の原理だ>という
桜澤の「無双原理」(人生最高の生き方)の理論を
縦横無尽に展開したとても、面白いエッセイであり、
読み物なのです。
僕が「ガンを切らずに10年延命」で書いた、
あなたはガン闘病の
<「和戦派」=東洋医学か、「好戦派」=西洋医学か?>
という問題提起を、もっと論理的かつ哲学的に
書き下ろしたダイナミックな論文です。
<ガンという禍を転じて、
東洋一元論に基づく人生最高の幸福を得よう!
ガンは「仇敵」と考えるのではなく、わが「恩師」と考えよう!>
という西洋哲学や医学の二元論で凝り固まった
日本人が読んだら「目からウロコ」を落とす(?)逆転発想の
「人生哲学」でしたから、僕自身、面白くて一気に読んで
心トキメイてしまったことはいうまでもありません。
明日、そのサワリの部分を抜粋紹介させて貰います。
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