第113回
漢方は「非科学的医学」だといわれるが?
いま発売中の近刊
「ガンを切らずに10年延命――複合漢方力の知恵」の中の
<王医師曰く「天仙液は科学的に研究開発された抗ガン漢方薬」>
というインタビューの続きです。
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「天仙力」という言葉は、
自然界に存在する不思議な生命パワーとして
中国のSF小説等でも最近は使われるようになりましたが、
「天仙」とは、初期の生薬の主要成分であった
「天花粉(てんかふん)」(抗菌、抗腫瘍作用)と
「威霊仙(いれいせん)」(鎮痛、抗腫瘍作用)
という2つの薬草名から組み合わせた
王振国医師の造語だそうです。
Q=漢方というと非科学的医学だといわれますが?
王振国=いま、漢方によるガン治療が直面している
最大な問題点は、規格がなく、
現代科学技術による研究開発もほど遠い。
こうした状態で、患者が高額な費用を払わされ、
その結果、QOL(いのちの質)の向上が求められず、
また生存率も短縮されてしまうとしたら、
こんな悲しいことはないでしょう。
中国医学、漢方薬の治療効果を高めるためには、
過去のように、ただ水で煎じて薬効を抽出するような
方法を変えなければいけません。
現代の科学技術を駆使して、
多様な抽出法で有効成分を抽出することで、
薬材のムダを避けながら薬用価値や、
臨床治療の効果をより高めております。(以下略)
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さらに、本書では、王医師と、共同開発者である、
香港の製薬会社・中日飛達(ちゅうにちひたつ)聯合有限公司の
盧繼徽(ルーチフェイ)会長らがこの20年間に推進してきた
「中国、米国、日本、台湾の研究機関で実験・検証されたデータ」
も詳しく紹介しました。
ちなみに、西洋医学の抗ガン剤の奏功率は、
じつに科学的に精査されている、
エビデンス(立証性)が高いといわれていますが、
その奏功率とは
「100人のうち20に以上にガン腫瘍が半分になる、
この状態が4週間以上続けばOKということで認証されている」
わけですから、じつに5人に1人の効き目なわけで、
巷間、信じられているほど
「立証性の高い万能薬」とはいえないわけです。
むしろ、王氏らの検証・実験では、
複合漢方薬に奏功率の高いデータもあり、
また動物実験ではなく、
患者の臨床効果も高いことにも僕は驚きました。
もちろん、洋の東西を問わず、
ガンに「一発で効く万能薬」など、
いまだ発見されていませんから、
より、「患者に近い立脚点」で
開発・検証・治療が行われるかどうか?
この人間味あふれる医療の姿勢が、
これからの「ガン治療のあり方」を
決めていくものだと思います。
ちなみに、「西洋薬と漢方薬の製法の違い」について、
簡潔に解説すれば以下のようになります。
◆西洋薬=化学合成された物質が多く、
1つの成分で構成されており、
1つの疾患、症状に強い薬理作用を示す。
いわば「単純主義」製法の薬と理解しておきましょう。
◆漢方薬=自然の生薬を使用し、
原則として2種類以上の生薬の配合で構成され、
多くの成分を含んでいるので、様々な症状に対応する。
いわば「複合主義」製法の薬と覚えておきましょう。
僕の敬愛する医師に土屋繁裕さんという外科医がおられまして、
キャンサー・フリートピアという
日本最初のガン専門相談所を創設した人ですが、
これからのガン医療は
EBM(エビデンス・ベースド・メディスン)から、
人間=患者本位のHBM(ヒューマン・ベースド・メディスン)
になると教えてくれたことがありました。
漢方がよい、西洋医学がよいと争うのではなく、
王医師に会う度に、
「人間味溢れる真面目な姿勢」に感動したものでした。
ぜひ、本書の王振国インタビューも、
新しい視点から読んでみて下さい。
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