ガンを切らずに10年延命-関根 進

再開!元週刊ポスト編集長の目からウロコの体験秘話!

第89回
岡本太郎曰く 「人生はオギャアだよ」

「日々、心にトキメキの小爆発を起こす」
この何気ない“生き方の知恵”を僕に気づかせてくれたのは、
高校時代の国文学の恩師・大河原忠蔵さんだった――
という話の続きです。

大河原先生は明治学院というミッションスクールの高校教師から
奈良教育大、奈良女子大、武庫川女子大などの大学の教授に転進。
一方で、40歳から64歳の4半世紀にわたって、
NHKのテレビとラジオの通信講座「現代国語」で
国語表現学も講義しておられました。
皆さんの中にも、
学生の頃にご覧になった人がいるかも知れません。
僕も社会人になってからもときどき拝聴し、
元気で講義を楽しんでいる様子は知っておりましたが、
面と向かってお会いする機会は逸していたわけです。

大河原さんの授業のテーマは、著書にもなっている
「文学的思考へのいざない」(東北大学出版会)
と題するものですが、
このコラムの読者の皆さんにも分かるように意訳しますと、
小説や詩歌、随筆など、
一流作家や詩人の文学作品を読むことによって、
自分の人生を「ときめかせる」という
ユニークな国語表現講座です。
文学に親しむことによって、
自分の心身を丸ごと豊かにする、元気にする・・
といった、人生の道を開くパワーを秘めたものです。

作家の武者小路実篤さんから、
ノーベル賞物理学者の湯川秀樹博士、
国立民族学博物館・初代館長の梅棹忠夫さんまで、
200人近い「近現代の英知」に、
精力的にインタビューした番組でしたから、
ズバリ、実践的かつ知的な人生学講座というわけで、
多くの教え子に感銘を残し、大学ではもちろん、
NHKの講座を25年間も続けた所以でしょう。

ともあれ、先生と奥様には、50年ぶりにお会いしたわけですが、
眼前に写真やテープ資料を並べて、
3時間に渡ってNHK講座を再現。
「人生とは何か?」「人生は爆発だ!」という、
パワフルな講義を速射砲の如くに話して聴かせて下さったのです。

さて、大河原さんの質問に「近現代の英知」はどう答えたか?
番組テーマと結論の一部をQ&Aで紹介させていただきます。

●湯川秀樹 「創造者としての人間」――  
Q=造花を作るのも創造ですが、
  先生にとって「創造」とは何ですか?
A=おもろい質問ですな。私のは“ごっつい創造”です。
  (ちなみに、関西弁で「ごっつい」とは、
   とてつもなく凄いという意味)

●武者小路実篤の世界――
Q=人生とは?
A=心が本当に喜んで、
  心が素直にこういうことをしたいと思うのは、
  自分がしたいと思うのではなく、自分をつくったものが、
  何かそれをさせたがっている(略)

●梅棹忠夫「発見の手帳」――
Q=創造とは、人生とはなんですか?
A=知的なプレーボーイを楽しむことです。
  そして、一連のインタビューの中で最も気のあった相手が
  画家の岡本太郎さんだった・・・と、最後に大河原さんが、
  奥さんと嬉しそうに語ってくれました。

●岡本太郎 「民族の生命力」――
Q=人生とは、芸術とは何ですか?
A=わははっ、オギャア・・・だよ。
  「芸術は爆発だ!」の名言を持つ岡本太郎さんは、
  まさに「人生は爆発だ!」ということを、
  赤ん坊の誕生に託てスッパッと答えたのには、
  さすがの大河原さんも返答に詰まるほど感動したそうです。

芸術は爆発だ、文学は爆発だ、人生は爆発だ・・・
いい響きですね。

僕は久しぶりに元気をいただいいて、
ウキウキしながら先生のお宅をあとにしたわけです。
心の躍動(エラン・ビタール)が
人間の創造的進化を左右するといったのは、
フランスの哲学者アンリ・ベルグソンですが、
きっと、「人生の爆発」を愉しむ=「知的にプレイボーイ」
することが、人間に計り知れない、
いのちのパワーをもたらすものなのでしょう。


←前回記事へ

2009年2月13日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ