第81回
「食事が心身を“平和”にする」
「人間の攻撃的性格は食事に原因あり」という
興味深い話があります。
たとえば、岩手大・大沢博名誉教授は、
「食事で治す心の病」という本でも、
若者が「切れる」=統合失調症は、食事の影響だと説いています。
とくに「甘いもの過食は、
低血糖症からくる脳の機能を低下させる。
ウツ、キレル(統合失調症)、
さらに痴呆を起こす原因になっている。
とくに、若者のコーラや缶コーヒーなどの依存症は問題だ。
まして、精神病棟に自販機があるなど、これはもってのほかだ」
と警告しておられます。
精白砂糖を大量に体内に取り入れると、
一時的に血液中に糖が溢れる、つまり「高血糖」が起り、
それを正すために膵臓が多量のインシュリンをだす。
すると、逆に「低血糖」となる。
この「低血糖症」が続くと、脳が必要なブドウ糖が不足して、
それを正すために(攻撃的な)ドーパミンが分泌される――
若者のコーラ、缶コーヒーやアイスクリームなどの
依存症繰り返しが、人を攻撃的、好戦的にさせるといいます。
アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある
神経伝達物質=ドーパミンが増え過ぎると、
感情の起伏が激しくなり、
「怒り」「憎しみ」という感情が過剰に出てくるからです。
このほか、ミネラルやビタミン不足も遠因となっているようです。
そして、マクロビオティックの推進者・久司道夫さんの
「食事があなたの運命を変える」
(第二海援隊・刊、橋本幸雄さんとの共著)
という著書などを読むと、
あのアル・カポネやトーゼといった天下の大強盗たちが、
ポルトガルの刑務所でマクロビオティックの食事にめぐり合い、
すっかり人格温厚に成ったという愉快な話が載っています
どうも、最近のテレビを見ても、
親殺し、子殺し、理由不明の殺人から、
国家間のテロや戦争まで、
個人レベルから国家レベルに渡って
おかしな事件ばかりが続きます。
こうした攻撃的現象、抗争的異常を抑えるのに、
たんなる道徳・倫理論議や品位論争では片付かないのは
どうしたことか?―-と、
疑問に思っている皆さんはたくさんおられると思います。
やはり、身体を健康にすることはもちろん、
精神を健全にするためにも、
化学加工や化学添加された食べ物ではなく、
自然で有機な食材を見直すべきときだ――
僕は、最近、ますます そう思うようになりました。
もちろん、精白砂糖の入ったスイート類だけではありません。
肉類、乳製品の過食、
つまり、高タンパク、高脂質、高カロリーの取りすぎは、
腸内に腐敗物質を滞留させ、
また、血液中に活性酸素を大量に発生させて、
ガンやアトピーなど種々の慢性難病の原因となります。
「健全なる心は健全なる身体に宿る」
「過ぎたるは及ばざるが如し」――とは、
誰でもが知っている格言です。
肉食やスイーツの過食に走るのでなく、
玄米菜食や有機食品の効用が見直されるべきでしょう。
地球環境だ、エコだと、ただ大上段に、
頭でっかちに振り回すのではなく、
家庭の「食事が心身を温和にする」
一人一人の「健康が地球を平和にする」・・・
こうした等身大といいますか、
「身と土」で体感する、人生設計、社会計画が
必要な時代になってきたと思います。
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