第74回
続・「自立と実践」について
あらゆる分野で、時代が混迷し、
『自立と実践』という新たな人生指標を見つけるべく、
一人一人が変革の時代を迎えています。
というわけで、最近、僕の手元に送られてきた、
これからの「自立と実践」に関する
読み応えのある本・3冊の紹介――
前回の宮本なおみ・著「革新無所属」に続いて、
猪瀬直樹・著「霞ヶ関『解体』戦争」、
そして、逸見晴恵・基佐江里・著
「家族のがんに直面したら読む本」を紹介します。
◆「霞が関「解体」戦争」猪瀬直樹・著
友人の作家・猪瀬直樹さんから送られてきた近著です。
道路関係四公団民営化推進委員会委員として
特殊法人等の廃止・民営化に奮闘したのは有名ですが、
本書は、いま地方分権改革推進委員会委員として活躍中の
猪瀬さんの報告レポートです。
「地方整備局・地方農政局の原則廃止」こそ、
税金の無駄遣いをなくし、日本人を元気にするための
地方分権・霞ヶ関解体計画だというわけです。
「国の公務員33万人のうち21万人が
地方支分部局に所属している。つまり、東京にいないんです。
そうすると、20万人以上の人が地方の運輸局であったり、
地方整備局であったり、地方農政局であったり、
いろんな局にいるわけです。(略)
二重行政、三重行政をやっているではないですか(略)
それから元気が出る、やる気があるというときには、
やる気を起こす責任感というか自立心をもっと刺激するような
分権改革のなかでやっていかなきゃいけないと思っています」
として、官僚とのバトルが洗いざらい公開されています。
まさに今日的課題の構造を突いた「自立社会」の提案書ですから、
面倒がらずに、いまこそ読んでおくことをおすすめします。
あなたの事業計画や人生設計を立てる上での大切なヒントも隠されています。
◆「家族のがんに直面したら読む本」逸見晴恵・基佐江里・著
こちらの本は、スローヘルス研究会のお仲間でもある、
エッセイストの逸見晴恵さんから送られてきた
『ガン患者と家族の応援書』ですが、
医師・病院の選び方から入院費用のことまでが
分かりやすく解説され、
患者と家族の「自立の心得」が、体験者の視点から、
しっかりと書かれていますので、一家に1冊、必携の本です。
15年前に、夫の逸見政孝氏が胃ガンの大手術を受けて
残念にも亡くなってしまっときの反省も込めて、
こう書いておられます
「そのときも『まかせます』と大手術を、
潔く受け入れてしまいました。
社会生活なら律儀さも潔さも美徳ですが、
がんと闘うときは、これではいけません。
医師への気遣いよりも自分を大切にして、
気になることはどこまでも知りたがる、
うるさいくらいの患者になりましょう」と。
この「患者漂流」「ガン難民」の時代には、
自分のいのちを守る心得は、
もっともっと大切にいなければならないと、
説いておられるわけです。
地球の環境、経済の崩壊、政治の混乱、そして高齢化現象・・・、
時代の変革はこの分野だけではありません。
漢字で象徴する一文字が話題になりました。
2006年は「命」、2007年は「偽」、
そして2008年は「変」でした。
おそらく、ことしの象徴漢字は「自」になることでしょう。
いまや、「自立と実践」を一人一人がどう貫くか?
それが問われていると思います。
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