第71回
続・中高年のための「漢方生活」
70歳に近づいていくと、
ガンがどうのこうのと言うより、
体のあちこちの老化現象が急激に進行して、
慢性病を併発します。
僕にしても、胃に潰瘍が4発も出たり、
夜の小便の回数が増えたり、
目がかすんで耳が遠くなったり・・・
若いときには考えられない不調に見舞われました。
それぞれに体質は違うので一概にはいえませんが、
僕の場合、こうした慢性病のそもそもの原因は、
持病の椎間板ヘルニアの第一腰椎圧迫が起こすようでしたので、
毎朝の1時間の散歩で、足腰の筋肉強化をはかっていますが、
季節の寒暖が激しくなると、たちまち悪化して、
体の各所に不調がでてくるわけです。
というわけで、主治医の帯津良一医師などに
そのときの症状をよく話して相談し、
漢方薬を処方していただいているわけです。
前回書きましたように、昨年暮の腰痛と前立腺の不調も、
帯津医師の見立てによる
「八味地黄丸」(ツムラの顆粒)(※1)と、
台湾製の「六味地黄丸」、
王振国医師の「天仙栓」(漢方座薬)(※2)を使って、
なんとかクリアできました。
(注・中国の漢方薬は日本人には
効き目がキツイようなので、半分を使用)
たとえば、慢性症状とは、胃が痛いからといって
消化剤や痛み止めを飲めばよいとする、
西洋医学の局所治療では、とても治るものではありません。
皆さんも、いろいろ工夫して
慢性持病をクリアしていると思いますが、
漢方薬の威力は、とくに中高年や女性の慢性病に
効果を示すものだと思います。
さて「八味地黄丸」の効能は
≪疲れやすくて、四肢が冷えやすく、
尿量減少または多尿でときに口渇がある次の諸症:
下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、
かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ≫
ですが、生薬配合は以下のようなものです。
「地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、
沢瀉(たくしゃ)茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんひ)、
桂皮(へいひ)、炮附子(ほうぶし)」
また「天仙栓」の作用は、
解熱・解毒作用、鎮痛作用、
強力な殺菌作用と説明書きにありますが、
座薬であるために直腸粘膜から直接薬効が吸収され、
胃、小腸を経由をしないため、
胃酸やそのほかの物質による有効成分の破壊を防ぐ・・・
といったことが特徴のようです。
また、通常使用後30分程度で血液循環に乗るようです。
生薬配合は以下です。
明礬(みょうばん)、南星(なんせい)、蟾酥(せんそ)、
冰片(ひょうへん)、黄蓍(おうぎ)、莪朮(がじゅつ)、
白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)、半枝蓮(はんしれん)。
ちなみに「天仙栓」は日本では未承認の薬ですから、
注意してください。個人輸入で手にいれることになります。
長寿社会になればなるほど、
体全体の老化に関わる複雑な慢性病がふえてきます。
ちょっとした風邪や腹痛や切り傷の治療と同じ発想の
「切ったり」「叩いたり」する局所治療では治らないどころか、
ときには劇薬の副作用で、
ますます体を痛めつけることになりかねません。
漢方に詳しい医師に相談できる体制を作り、
とくに中高年になったら、ただ漢方をバカにするのではなく、
症状に合わせて上手に付き合うことが大切ではないでしょうか?
これが「元気に長生き」の1つの知恵だと、僕は思っています。
※1 http://www.tsumura.co.jp/
※2 http://www.tensen.com/
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