第64回
「患者漂流」は他人事ではありません
2年前に、日刊BLOG「気がつけばあなたもガン」の
第1719回に≪患者漂流「貧乏人は死になさい?」≫
という記事を載せました。
極度の高齢化と地方財政の逼迫、
さらに国家の医療費財政の悪化のために、
「貧乏人は病院にかかれない」
「地方の人は病院にかかれない」
「高齢者やリハビリ患者は長期入院ができない」
「末期ガン患者は病院のたらいまわし」
「難病患者、高齢患者、介護患者が路頭に迷う」
おまけに「貰えるはずの年金が返ってこない」
――この現象を「患者漂流」といいます。
「患者漂流」の造語を広めたのは
アメリカが帰りのベテラン医師・中野次郎さん(83歳)ですが
その著書「患者漂流―もうあなたは病気になれない」
の警告予言の通り、
「患者漂流」が現実化してしまいました。
あなたの町の病院は、医師はどうでしょうか?
とくに、高齢の末期ガン患者の場合、
「患者漂流」は最悪となります。
まさに「ガン難民」となってしまうからです。
各地のガン拠点病院では治療法がなくなると、
「高額の治療費を取れない患者」として、
病院を追い出されることとなります。
在宅、もしくは緩和病院で
“死を待ちましょう”と宣告されたのも同然です。
以後、患者は転々と一般病院や緩和病棟を
たらいまわしされるわけです。
おまけに、新聞を開けば、
地方のガン拠点病院の医師不足、
小児科・産婦人科の極端な医師不足、
病院の統廃合による病院不足、
技量不足の医師たちによる医療過誤――
が盛んに問題視されています。
さらに“失言マシーン”と顰蹙をかった首相自らが
医師との責任のなすりあいをするような失言をし、
一般国民が唖然としたのは記憶に新しいわけです。
この国の政治家然り、官僚然り、医師・病院然り・・・
公務ないし国民のいのちを守る仕事に従事している者が、
“勝手な己の権利”ばかりを主張する――、
まったくもって本末転倒。
「長寿国・ニッポンをこう改革したい」
という設計図ビジョンを示す者が
誰も出てこないのは、
「何をかいわんや」ではありませんか?
たまには「75歳以上の高齢者の医療費を無料化する」
といった地方からのグッド・ニュースもありますが、
「患者漂流」「ガン難民」をなくす
決定的な手立ては見当たりません。
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