第33回 
        「病人の体温が下がることは死に近づくこと」 
         
        これからは、お互いに体の冷えに気をつけましょう。 
          病人の体温が下がることは死に近づくことを意味します。 
          冷えた患部を温めて血行をよくすることが、 
          晩秋から厳冬を乗り切るヒケツです。 
        不調を訴える患者さんたちには、 
          とくに体のツボを温める 
          「ビワの葉・温灸(おんきゅう)器」や 
          手軽で美味しい「梅醤番茶(うめしょうばんちゃ)」 
          といった、昔「おばあさんの知恵袋」といわれた 
          素朴な伝統療法をすすめています。 
        日本人には日本人の体質に合った 
          健康の知恵があることを忘れてはなりません。 
          これぞ、ゆったり健康法=スローヘルスの原点なのです。 
        僕たちの患者懇親会のスローヘルス研究会の趣旨について、 
          季刊会員誌の冒頭にいつも次のようなメッセージを送っています。 
        《「いのちの手帖」は心のマッサージ・マガジンです。 
          ◆スローヘルスとは・・・ 
          温かくて和やかな健康法であり、処世法です。 
          「温和療法」と覚えておいて下さい。 
          本来、人間が持っている「自然治癒力」を大切にし、 
          「身・魂・心」のいのち丸ごとを考える・・・ 
          この主旨で設立されたしなやかな集まりが 
          スローヘルス研究会です。 
          その会員雑誌である「いのちの手帖」は 
          ポケット版の小さな雑誌ですが、 
          「心のマッサージ読本」として、 
          気楽にゆったりとお読みください》 
        難病のガンといえども、 
          眦(まなじり)を決して腹を切ったり、 
          うんうん唸って化学劇薬の苦痛に耐えることは早く卒業し、 
          薬草でも食事法、呼吸法でも応用できるものいろいろ工夫して、 
          もっと、人生を温かく和やかに過ごしていこう――、 
          こんな主旨で作った組織です。 
        そして、何よりも日常生活の基本を 
          以下の「温和力3原則」として大切にしよう、 
          それが、再発や転移を防ぐ近道だと確認しあっているわけです。 
        1.食べることも大切だが出すことが一番 
          2.冷えは万病のもと。心身を温めよう。 
          3.ストレスをためるな。希望を持とう。 
        えーっ?そんなこと分かっているよ、 
          こんな3原則でガンの再発や転移が防げるわけがないだろう―― 
          という人も多いでしょうが、 
          これが守れないのが人間の弱さでもあります。 
        漢方薬にしても薬膳やマクロビオティックにしても、 
          難しい原理や理論はありますが、 
          この「スローヘルス」=温和療法の3つの原則を、 
          まず守って生活を続けていけば、 
          むやみやたらと検査漬け、手術責め、劇薬責めにあわなくとも、 
          延命できるっものだと、僕たちは考え、 
          また実践してきたわけです。 
        僕にしても毎年、寒さが厳しくなる年末に 
          風邪を引いたりして体調を崩し、 
          スワッ!ガン再発かと大慌てしたことが何度もありました。 
          厳冬の夜、知人の葬儀に出て自らの命を縮めた 
          患者さんを何人も知っています。 
          気温の差が大きいので、こうした季節の変わり目には、 
          体調を崩さぬよう十分に注意してください。 
          体調が崩れてもあわてないで、 
          「温和力3原則」を思い起こしてください。 
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