第134回
フランス人が家を買いかえる時
というわけであっという間に売れてしまったので、
私たちはたった2軒しか見ていませんが、
80%近く条件に合った2軒目を買うことにしました。
今度の家も古い石造りで、敷地は800坪ほどあります。
彼の両親は今までに20回近い引越しをしたといいます。
若い頃は転勤族だったからでもありますが、
そうした理由だけでなく、
リヨンに落ちついてからも数回は引越したそうです。
その間、アパートや家、セカンドハウスを売ったり買ったりし、
そのたびに大きくしていく上手な投資をしたようです。
その反対で、東京の実家は祖父母の代から変わりませんでした。
日本の場合、
一度家(マンションも)を手に入れたらずっとそのまま…
たとえば転勤になっても売らずに年限を切って人に貸し、
また戻ったら住むというのが一般的ではないでしょうか。
ゆえに驚きでしたが、義理の両親の例から
「フランス人は気軽に家を買いかえる」と理解していました。
私たちの決断も普通と思ったら、
実はシャルバーグ家が特別だったようです。
ジョジョに言われました。
「家の買いかえはフランスでもそれほど普通じゃないのよ。
むしろ同じところにいる人達のほうが多いかもしれない」と。
ただこれで日本人と変わらない、
と思うのはちょっと早いかもしれません。
頻繁に家を買いかえはしませんが、
子供の数が増えたり、転職、退職を機に
引越しをする人は多いからです。
子供は2人でいいと思っていたら3人目ができて手狭になった。
退職後は庭いじりでもしてゆっくり暮したい。
だから田舎の広い家を買う。
あるいは便利な町中のアパートに買いかえたり。
フランスでは56%の人が持ち家に住んでいるそうですが、
2000年以降不動産はかなり値を上げました。
我が家の近辺、つまりヴァンヌも含めたその周辺などは
50%近い値上がりと新聞に出ていたほどです。
今30代前後で初めて家を買う時は、
25から30年のローンを組むのも珍しくないそうです。
私たちが今の家を買ったのが2000年初頭ですから、
急な値上がりを始める直前だったと、後でわかりました。
今だったらとてもこの海辺に家を持つことはかないませんでした。
…続く
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