第129回
「暴動」とは少々大袈裟です
11月7日NHKニュース(日本と同時間放送のもの)で
「フランス、パリ郊外での暴動」が報道されました。
でも、ちょっと大袈裟だな、という印象を受けました。
車やバス、場所によっては学校や商店も焼かれ
騒動になっているのは確かです。
ゆゆしき事態ではありますが、
パリ郊外で車やバスが焼かれる騒動は
1週間も前から起こっていました。
発端は2人の移民青年の死。
これは日本でも報道されていると思います。
この事故をきっかけに内務大臣サルコジへの反発
(テロ対策強化などの「治安維持」を理由に
あらゆる方面の取締りを強化したこと)が、
若者の間で爆発したわけです。
少し言葉が足りないかもしれません。
「取り締まり強化に反発」といっても
日本人には理解し難い感覚でしょう。
アメリカ人のように善と悪、白と黒のように
はっきり区別できると考えれば、
「取り締まる」方が正しく、
「取り締まられる」方はどこか悪いに決まっています。
ところが実際はそれほど単純ではありません。
月並みですが、
根底に差別と貧困による家庭崩壊が横たわっているからです。
最初は車を焼く程度…
「程度」?と思われるかもしれませんが、
毎年どこかで10代の若者が
バカ騒ぎの結末に起こしていたことでした。
政府は一部の出来事と無視し続けて1週間。
その間、ニュースなどで知った
あちこちの移民が多く暮す貧しい地域
(都市部郊外の公共住宅地など)に暴力の嵐が飛び火した…
これが前出の週末でした。
今や問題は「サルコジ」を通り越し、
フランス社会が20年以上見て見ぬ振りをしてきた
矛盾が吹き出してしまったわけです。
オリヴィエに言わせれば
「ずっと絨毯の下にはき入れて隠していた埃(問題)が
表に出ただけ」。
私はジャーナリストでも社会学者でもありません。
フランスについては、
この国に暮すようになってから一市民として改めて「知り」
「理解」しようとしているに過ぎません。
そういう主婦ですから、
この問題について論ずるベースは持ち合わせていません。
ここに記したことは、
ここのテレビやラジオで見たり聞いたりしたままに過ぎません。
ただ突発的に起きた「暴動」ではなく、
根っこは今に始まった新しい問題ではない、ということです。
…続く
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