国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第123回
フランスにも「そば粉」がある!

前回、ブルターニュには「栗」ぐらいしか
(20世紀になるまでこの地方では小麦がほとんどできなかった)
食べられなかったと書きましたが、
もう一つブルターニュの貧しい過去を象徴する作物があります。

「そば粉」です。
といっても日本のような蕎麦はありませんけど…
フランスではそば粉を
サラザンsarrasinとかブレ・ノアble noir(黒麦)と呼びます。
栗同様、以前はこの粉を利用してお粥にしたり、
すいとんのようにスープで煮たりして食べていたようです。

石ころだらけの荒地でも良く育つそばは、
長い間貧しいブルターニュ人の食べ物でしかありませんでした。
ところが今は栄養価が高く健康に良いというので
静かな人気を呼んでいます。

我が家の回りには畑がけっこうありますが、
今年はこのサラザンがたくさん植え付けられ、
今その収穫の時を迎えています。

私は東京生まれの東京育ちのため、
田舎風景というのにほとんど縁がありませんでした。
だから本当をいうと、夏中畑の一面に涼しげに揺れていた
「そばの白い花」がなんの作物だか知りませんでした。
日本から来た友人に
「ここにはそばの畑がたくさんあるので驚いたわ」といわれ、
初めて気がついた次第です。

さて、どうやって使われるかというと、
昔からあるブルターニュの名物、
そば粉で作るクレープ、ガレット
(部厚いビスケットやお菓子を指す総称ですが、
ここら辺ではそば粉のクレープをこう呼びます)が代表です。
それにサラザンを混ぜたパンなど。
今はいずれも中より上の値段がついています。

ところでこのクレープですが、
今はパリの街角はもちろん、東京にもクレープ屋があるようですね。
フランスでも全国的にはあまり認識されていないようですが、
その発祥の地はなんとブルターニュ。
だから「ブルターニュの名物料理」なのです。

当然そば粉のクレープは昔から食べられていました。
でも1週間に1度ほどの「ハレ」の食べ物だったようです。
小麦粉に卵やミルクを混ぜて作る日本人にも一般的なクレープは、
小麦が以前より普通に栽培できるようになってからのこと。
たかだか100年ちょっと、
20世紀から作られるようになったに過ぎません。
歴史からいっても、クレープの正統派はそば粉のクレープなのです。

…続く


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2005年10月28日(金)

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