国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第122回
「マロン」は食べられません

10月中旬、オリヴィエが紙袋を抱えて帰ってきました。
中にはてかてか茶色に光る栗と落ち葉が入っていました。
彼の友人が森で拾ったのを持ってきてくれたそうです。

いったいどのくらい…2kgはあったでしょう。
松葉やしいや栗の落ち葉、ひいらぎの葉など、
自然の色合いがあまりにきれい。
そのまま全部を数日テーブルの飾りにしていたほどです。

ただこの栗、日本で栗ご飯や甘く煮て食べる栗とは
どうも種類が違うようです。
どなたかその違いを御存知でしたら教えてください。

というのはここで暮らし始めた頃、
内陸部によくドライブに出かけました。
あちこちで栗が安く売られているのに驚き、もちろん買いました。
日本式に茹でて皮をむいたら、
中身までぐしゃぐしゃになってしまいました。
それに日本の栗と比べて実の甘みが薄かった。
結局何度か試したのですが一度もうまくいきませんでした。

パリの秋冬の風物詩ともいえる焼き栗売りが示す通り、
この栗の一番の食べ方は「焼く」だったのです。
ジョジョ(義母)は、
昔は細かい穴の開いた特別のフライパンがあり、
家庭ではそれを使って焼いたといっていました。

と焼くだけではつまらないので、
今回はこちらのレシピ本をいろいろひっくり返してみました。
なんと1939年発行の「Le Nouveau Livre de Cuisine」
(主人が以前ブルコントで見つけてきた)という
家庭料理のレシピ本に、
比較的単純で実行可能なレシピを発見したのです。

そこには皮のむき方からピューレ状にするやり方も出ていました。
皮ごと茹でるのではなく、まず外側の皮を生の状態でむき、
それから茹でて渋皮を取るというものでした。

いやー、かなり大変な作業でありました。
渋皮をむくのは途中で諦め、それごとこちらでモリネット
(実はメーカーの名ですが)と呼ぶ漉し器にかけてしまいました。
こうして作ったピューレ状の栗のクリームに砂糖とバターを加え、
さらに卵の黄身と白身はメレンゲにして混ぜ、
オーブン(160度前後)で1時間ほど焼きました。
分量は60個の栗に対してバター125g、砂糖250g、卵3個の割合。

ちなみにこのお菓子の名は『Marrons a la lyonnaise』といいます。
実はリヨンの南にあるアルデッシュArdecheは栗の有名産地。
ここで栽培される栗はAOCに指定されています。

一方貧しかった頃のブルターニュでは栗を主食にしたとも聞きます。
焼いて食べるのはもちろんですが、
粉にしておかゆにしたりで、
お菓子にする余裕はなかったのでしょう。
そのせいか義母は「私には甘過ぎる」といいました。

それからフランス語で栗はシャテンヌchataigneです。
ピューレ状やお菓子の名でマロンmarronといいますが、
マロニエの実も「マロン」と呼ぶので
日本人は混乱することがあるようです。
これは食べられません、念のため。


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2005年10月26日(水)

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