国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第121回
赤信号、堂々と渡るのがフランス人

10年前、オリヴィエが初めて日本に来たとき、
人々がきちんと赤信号を守るのに驚きました。
フランスで車が途切れているのに、
赤信号で待つ人はいないからです。

これはフランス人と日本人の根本的な違いに通じる心情があります。
日本人にとって規則は守るためにありますが、
フランス人にとって
規則は破るためにあるといっても大袈裟でないからです。

ある時、主人が
「フランス人にはシステムDというのがあるのを知ってる?」
と聞きました。
この「システムD」はそう古い言葉ではありません。
ドイツ軍占領下の戦争中に生まれた言葉だからです。

Dはdebruiller
(困難、難局を切り抜ける、うまくやるという意がある)、
demerder
(抜け目なく行動するとか才を働かせてうまくやるという意)
などの頭文字「D」を取ったもの。

この時代、パリなど都市部では食料や物資が大変不足しました。
占領軍の法を順守していたのでは到底生きられません。
そこで法の網をくぐり、同胞あい助け合い、
抜け目なくうまくやるのを良しとしたわけです。
どうもこの「うまくやる」ことを楽しむ、あるいは好む気質が、
フランス人にはもともとあったのかもしれません。

戦後60年たった今も、
人々はいつもどこかでそのちょっとうまくやることを
楽しんでいるようなところがあります。
でも、それは隣人や同朋を騙すとか、
そのように自分と同じ立場の人に対して
うまくやることではありません。
あくまでも「権力」に対して、といったような面があるようです。
その良い例が、駐車場の料金です。

フランスはパリを始め
一般的に路上の駐車場は市の管轄になっています。
ようするに市の収入となるわけです。
日本と比べたらかなり安い料金で駐車できるのですが、
けっこうそれを払わない人が多い。

たとえばヴァンヌの町では、30分で50円ほど。1時間でも140円。
それ以上でも1時間の倍からもう少しといった料金です。
たまにお巡りさんのコントロールがあり、
無賃駐車だと罰金は5000円からそれ以上取られます。

払った料金より30分ぐらいオーバーしていても何も言われません。
だから払った方が日本人なら安心で安いと思うのですが、
フランス人はそうでもないようです。
これ、パリでいまだになくならない
地下鉄のただ乗りと同じ心理なのかな、と思います。

それからフランスで運転をする時、
赤信号だから人は渡らないと思ったらいけません。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」は典型的な日本人の発想。
最初に書きましたが、赤信号でも車が途切れれば
一人だって堂々と渡り出すのがフランス人だからです。


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2005年10月24日(月)

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