国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第118回
ディズニーランドでは味わえない旅

マラケシュを出て危機一髪の一夜を過ごした後、
再び風まかせの気ままな旅を続けました。
そして7日目、砂漠の入口、オアシスの町タタTataに着いたのです。

日暮れ前、この最果ての地と思われるところへ
4、5台の砂を被った四輪駆動車が、
やはり砂まみれの
フランス人やイタリア人のグループを運んで来ました。
運転手、ガイド付きの砂漠ツアーの人々でした。
行く手に「砂漠」があるのを確信しました。

「砂漠」と囲ったのには訳があります。
童謡『月の砂漠』で歌われる砂丘の連なる世界は、
一般に砂漠と表現される土地の一部なのです。
砂漠は本来岩漠、土漠
あるいは小石だらけの荒地のすべてを含みます。
私たちが行きたかったのは砂の他に何もないところだったからです。

タタを出て国道の最終地点フーム・ズギッドFoum Zguidまで来ると、
後は広大な岩漠の中に続く一本のピスト
(オフロードのこと。
ここでは雨が降ると水の流れる川筋になるウエドともいう)
を行きました。
歩いた方が早いと思われるスピードで、
オリヴィエは慎重に車を進めました。
エンジンを止めると、人っ子一人、動く物もない静寂が広がり、
「私たち」しか居ないようでした。

結果、想像通り砂丘の片隅で思い出深い一夜を過ごしました。
板のように固い砂の上、
寝袋の中から見上げた夜空はまるでプラネタリュウムのようでした。

こうして11日間2500kmを走破し、
人工のディズニーランドにはない自分たちの旅を経験したのです。

家族(とは限りません。恋人でも誰でも大切な人という意味で)と
旅行をするとき、いろいろな行き先が考えられると思います。
もちろん子供の年齢によって行き先は左右されるでしょう。
でも、ぜひ一度慣れ親しんだ自分たちの文化の中だけでなく、
異文化の中に身を投じ、
できれば文明社会の鎖も一時絶ち切り
自然の中に身を置くのも良いかと思います。

でも冒険ではありません。私たちも十分に準備をしました。
特にピストを行く前は再度車を点検し、ガソリンも満タンにし、
水、食料、燃料も十分に携行しました。
それに本当の事をいうと、私たちが入った砂丘は、
砂漠ツアーの通り道でもあったのです。

日が暮れる前に急いで夕食の支度をしていたら、
どこからともなく人声とラクダのいななきが聞こえてきました。
ラクダの隊商かと期待したら、
それは砂漠を徒歩で行くツアーの一行でした。
彼らは私たちよりいくつか先の砂丘の谷間にテントを張ったのです。
なんだかホッとしたと同時に秘密もなくなりましたけど。

それから気ままな旅でケチるのは良くありません。
私たちが借りた四輪駆動車の料金は、
3人のパリ、マラケシュ往復の飛行機代
(チャーター便…も会社によってリスキーですけど)に匹敵しました。
こういう旅を安く上げようとするとリスクが増します。


←前回記事へ

2005年10月17日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ