第115回
モロッコは気楽な旅先
日本でモロッコといっても、
北アフリカの王制イスラム国家程度…
の認識があるかないかでしょう。
映画好きなら
ハンフリー・ボガード主演の「カサブランカ」を
連想するかもしれませんね。
いずれにしても遠い国だと思います。
ところがフランス人にとってモロッコは、
身近で気楽な旅先なのです。
もちろん距離的に日本と比べたら断然近いわけですから、
当然と思われるかもしれませんが、理由はそれだけではありません。
最近ではセカンドハウスにとどまらず、
退職後の移住先とする人も少なくありません。
かつて北アフリカのマグレブ諸国
(チュニジア、アルジェリア、モロッコ)は
フランスの植民地でした。
その関係から今もここいらではフランス語が良く使われています。
日本人が日本語の通じるところにより多く集まるように、
フランス人も同様なのです。
やはり自国語が容易に通じるところを好みます。
フランス、モロッコ間は、飛行機でほぼ3時間。
主な地方空港からも直行便があります。
時差は1時間しかありません。
日本人がグアムやサイパンに行くような感覚です。
それに物価も安い。
と、ここまでは日本人とほぼ同じ感覚です。
が、もう一点、
フランス人がモロッコを好む理由には
日本人とまったく違う観点があります。
それは
「近いにもかかわらず
まったく違う文化と風土の中に身を置けるうえ、
太陽の恵みを享受できる」
からなのです。
そして私たちも2002年2月末から約2週間、モロッコへ行きました。
予約をしたのは往復の飛行機
(近いナント発はギリギリで取れず、パリ発でした)と、
到着した日のホテル1泊のみ。
後は何も決めず、ほとんどぶらりといった感じで出発したのです。
ただ旅の目的だけははっきりしていました。
現地で四輪駆動車を借り、誰もいない砂漠で過ごすこと。
これに合わせて3人分の寝袋持参で、
炊事道具は現地調達と決めていました。
フランスでも旅行会社が組む
滞在パッケージとかツアー利用がいちばん安上がりなのですが、
私たちは自分たちだけで好きに動くことを選びました。
リスクもありますが、
オリヴィエも私も旅の経験は十分に積んでいたし、
モロッコも良く知っていました。
さらに今回用の下調べ(レンタカー料金の相場など)もしたので、
子供連れ(それも男の子だし)でも不安はありませんでした。
(……続く)
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