第113回
国境のない同世代の文化キーワード
「ポケモン」といわれてなんだか分かりますか?
今10歳から15歳前後のお子さんがいらっしゃれば、
ほぼご存知ではないかと思います。
90年代後半、世界中にブームを巻き起こした日本製アニメ。
「ポケモン」はポケットに入る怪獣、
つまりポケット・モンスターの略でした。
いつかモロッコで見たテレビで、
ポケモンの主人公サッシャ
(日本名は「さとし」ですが、フランスではこう呼びます)が
アラビア語を話していたのには驚きました。
その中の食事シーンは、お箸にお茶碗、おわんにおかずと
まさに日本の食卓でしたけど。
ライアテア島に暮していた頃、
日本はもちろん、フランス本国でも大ブレークしていて、
この南の孤島にまでその余波が押し寄せました。
当時私は年に2回は東京へ行っていたため、
そのたびに東京駅八重洲口側にあった
「ポケモンセンター」(ポケモングッズの専門店)での買物を
余儀なくされていました。
他にも子供に頼まれたとおぼしき
いろいろな国の旅行者の姿を多く見かけました。
町のどこでも探せる日本人と違い、
彼らも私同様インターネットで調べて
わざわざここへやって来たに違いないと思ったものです。
フランスに越した時、
ポケモン・ブームは日本もパリもだいぶ落ちついていましたが、
ブルターニュはまだ真っ盛り。
息子に頼まれ、主人は良くブルコント(中古なので安い)で
ポケモンカードを買っていました。
ところでオリヴィエと私は同世代です。
面白いのですが、国とベースになる教育、文化は違っても、
同世代としての共通文化キーワードがあることに気がつきました。
それは古典といわれる名作や名曲とは別で、
もっと自分が生きてきた時代の息吹を伝えるというか、
身の回りにあったもの。
国境を越え、海を越えても共通の話題となる…
私たちのそれは60から70年代のロックでした。
アジアの友人たちだと、これがTVアニメだったこともありました。
今はインターネットの時代。
こうした現象がさらに加速されていることは間違いありません。
息子世代の子供たちが大人になり、
世界中で出会いを繰り返し、
何かの話しのついでに「ポケモン」の話なんかするのかな、
と想像しました。
彼ら世代の共通文化キーワードは、
きっと「ポケモン」に違いないからです。
さらにニンテンドウ、play station、X‐BOXなどが、
世界中の若い世代にいまや音楽や映画
(ハリー・ポッター、スター・ウォーズなどもありますが)より
大きな影響を与えているのかと思うと、
つくづく時代は変化している、と思うわけです。
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