パリだけがフランスではありません

第94回
塩は甘いかしょっぱいか

こちらに住むようになってから、
我が家は調理や食卓でも海水から取れる自然塩しか使っていません。
カニやラングスティン(手長エビ)、
小エビなどを茹でる時は、
灰色がかった自然塩の粗塩を思い切り良くばっさりと使います。
本来海水で茹でるのが塩加減に間違いがないのですが、
引き潮の時はそう簡単に水が汲めないので
つい横着をしているわけです。

さて塩はなめた時甘いと感じるでしょうか?
それとも単にしょっぱいだけでしょうか?
塩は塩辛い、つまりしょっぱいに決まっている、
とお思いの方が多いかもしれません。
でも私の実感は
「しょっぱいとは言えず、甘みのあるやわらかな塩辛さ」
といったものです。

この海の塩は、
かつてのブルターニュ文化圏の南、ナントの少し北の海側に広がる
ゲランドという地域で作られています。
塩田に海水を引き込み、
日光と風で水分を蒸発させて作られた自然海塩です。
ここでは1000年以上も前からこうした塩作りが行われてきました。
今でも200人程度の塩職人が、
昔ながらの自然海塩を作り続けていると聞きます。

けしてさらさらと乾燥しきっていないため、
小さな食卓塩の飾りビンなどに入れると
すぐに目詰まりして出なくなってしまいます。
だから両親のところでは、普通のさらさらの食塩を使っています。
粗塩もどこかしっとりした湿気を含んでいます。

これをなめると本当に甘みを感じるから不思議です。
ツンと来るような味の鋭さはまったくありません。
表示にも出ていますが、
マグネシウムを始め海水に含まれる多くのミネラルが
そのまま詰まっている気がします。

お値段は普通の精製塩に比べれば多少高くなります。
それでも1ユーロ135円として、
食卓塩の250gパックで200円ぐらい。
1kgの粗塩で400円ちょっとでしょうか。
ここでは安くありませんが、
これを使うと料理の味付けが数段上がったように思えます。
贅沢なのですが、今後も精製塩に変えるつもりはありません。


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2005年8月22日(月)

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