第90回
手作りの和やかなフェット
7月30、31日の2日間、
2年ごとに行なわれるアンナ港のお祭り
『フェット・デ・ヴォアル・ルージュFete des Voiles Rouges』
がありました。
ヴォアル・ルージュは、
昔ここを基地にしていた赤い帆の漁船のことです。
主催はアンナ港のあるコミューン、セネの住民、
特にアンナ港が好きな人々が集まって企画しています。
以前は地域の小さな集まりに過ぎなかったようですが、
前回から観光客も意識した催しになってきました。
30日の土曜日は、
夕方18時半からブルターニュ独特のケルト音楽や
海の男たちの歌などの音楽演奏が夜中まで続き、
ここの海の幸が味わえるスタンドが並びます。
翌日曜日は、朝10時半にアンナ港で礼拝があり、
夕方から港でいろいろな対抗ゲームが行なわれ、
再び夜は音楽の夕べ。最後は打ち上げ花火で締めくくられます。
最終日、花火の前にアンナ港とセネの人々の
昔からの暮しを紹介する演劇仕立ての30分がありました。
ところが途中、編集された音楽テープがプツリと切れる事故があり
5分以上中断を余儀なくされてしまいました。
普通ならブーイングが起こりそうですが、
ここはそうではありませんでした。
その前に流れていたシャルル・アズナブールの哀愁漂う
『Emmene moi au bout de la terre』(20〜30年前のヒット曲)を
誰ともなく歌い出し、
それが数分間大合唱で港にこだましたのです。
息子はこの曲を学校で習ったといっていました。
老若男女、誰もが口ずさめる歌があるって良いな、
なんてすごく温かい気持ちになりました。
花火目当てにだいぶあちこちから車で来た人が多いと思いましたが、
どこかとてもアット・ホームでローカルな雰囲気でした。
スタンドで働く人々はみなボランティアの御近所の人々。
あちこちで知った顔に行き会いました。
土曜日の夕方、ヴァンヌのステュディオ
(5〜6月に鍵貸しますの案内を出した)に泊まってらした
フランクフルト在住の日本人一家が寄ってくれました。
一緒にアンナ港へ行ってしばらくそこで過ごしました。
彼らいわく「なんか本当に田舎のお祭りって感じですね」。
けして洗練された大フェットではありませんが、
私はそこが気に入っています。
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