パリだけがフランスではありません

第89回
かわいい子には旅を…

第73回で、もうすぐ10歳になる息子を
初めて5日間のキャンプにやることを決めた経緯を書きました。

結局彼は7月18日から22日の5日間を過ごし、
無事戻ってきました。

その数日前から少し喉を痛め、夜は咳き込んで目を覚ますので
軽い薬を与えて寝かせたりしていたのです。
内心キャンプでひどくならないかと心配でした。

幸い熱を出すこともなく当日の朝を迎えました。
しかし本人はすごく喉が痛いし吐き気もすると、
起きた途端に訴えました。
それを無視して準備を急かせました。
食欲もないと朝食も取らずもたもたしているうちに、
大きな目から大粒の涙をこぼして「僕、行きたくないよ」。
やはりそうだったかと思いつつ、
それには一切取り合わず荷物を持たせ、
約束の時間ギリギリで彼を送り届けたのでした。

主人はそれを見越していたのと自分も悲しくなるので、
わざと起きずに行っておいでのキスをベッドですませ、
あとは私に一任したという訳です。

出かけた日の夜、9時過ぎに電話のベルが鳴った時、
2人とも思わず飛びあがってしまいました。
まさかキャンプ場から?
いつものただの広告Faxで、思わず胸をなでおろしたものです。

最終日、市の建物でキャンプに参加した子供達の演劇発表があり、
家族はみな招待されていました。
全部終って見に来た親と帰るわけです。
19時半から20時の開始ですから、
ほとんどみな一家で来ていました。

私たちも二人で行きましたが、
とにかく絶対にこちらから
どうだった、こうだったと聞くのは止めようと打ち合わせ、
その通りにしました。

家に帰りつくと、
驚いたことに彼は自分の荷物から汚れ物を出し、
全部きちんと所定の場所に片付けました。
いつまで続くかわからないけれど、ちょっと前と違うじゃない。
それから2日後ぐらいには、
オリヴィエと私のそれぞれに
キャンプでいかにいろいろなことを体験したかを
話してくれたのです。
さらに次の時は、どのキャンプにいつ行くか自分で決めたいから
申し込む前に必ず言ってくれと頼まれました。

「かわいい子には旅を…」といった言葉がありますね。
それほど大げさなことではありませんが、
ある時点で子供を突き放すことも必要だということを実感しました。
そして私たちは久し振りで
二人きりのゆっくりした時間を持つこともでき、大正解でした。


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2005年8月10日(水)

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