パリだけがフランスではありません

第66回
「バター少し」ってどのくらい

フランスでもっとも平均的なプログラムを組んでいる
民放TF1(テー・エフ・アン)で13時からのニュースを良く見ます。
国内外の事件、事故報道の後に、
国内のホッとするようなルポがあります。

1週間通しのシリーズで、
各地の庭園からフランスならではの手仕事職人など、
いろいろ紹介されます。

そのなかで地方の名物料理を取り上げていたことがあります。
作り手は普通の主婦でした。
「あっ、この料理知っている。どうやって作るのかしら」
と興味しんしんで見ていて驚いたことがあります。

日本の料理番組のなかで、調理の最中、
調味料や油の量を「少々」とか
「少し多めに」などと表現することはありませんか。
あいまいですが、見ているほとんどの日本人が想像する
「少々」「少し多め」の具体的な量に大差はないと思います。

ところでこの時おばさんが
「ここで少しバターを入れます」と言って取り出したその量。
私の「少し」感覚をはるかに上回る塊で、
本当にびっくりしました。

考えてみると、義母もよくバターを料理に使います。
リヨンの実家に遊びに行っていた頃、
1週間に一度のスーパーへの買物によく付き合いました。
そのたびに無塩バター250gの塊を3つ、4つ
いっぺんに買っていましたっけ。
我が家なら1つで2週間はもつというのに。

フランスの家庭料理(ケーキなどのお菓子類も含む)で
バターを使う量は、
日本の料理に比べて数十倍といっても大袈裟ではないでしょう。
実際野菜スープを作るのに、
バターの量によってその風味が随分違ってきます。
たっぷり使えばそれだけ美味しく、
十分でないと
どこか水っぽくてこくのないスープになってしまうのです。

もちろんここでも
バターの取り過ぎは健康によくないことも知られているし、
労働形態(以前は農業労働が中心でした)も変わり、
食事は軽くなる傾向にあります。
それでもフランスと日本では、
「バター少し」の量感が随分違うものだと改めて思いました。


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2005年6月17日(金)

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